金森さん「このタイミングでこのような体制で挑めることに感謝」(9/27記者会見)

2019年9月27日(金)午後2時半、「 りゅーとぴあ劇場専属舞踊団 Noism 第6期活動期間の更新『Noism1+Noism0  森優貴/金森穣 Double Bill』製作発表 記者会見」に参加してきました。

会場はりゅーとぴあ ・ 能楽堂のホワイエ、 出席者は中原八一新潟市長、金森さん、りゅーとぴあ支配人の仁多見浩さんの3名。傍らに井関さん・山田さんをはじめとするNoismメンバーが勢揃いするなか、中原市長の「よろしくお願いします」の言葉から会見は始まりました。

まず最初に、中原市長がこの一年間を「Noismの活動を理解する期間が必要だった」としながら、「Noismの活動に支障をきたさないように」これまで15年間の活動を検証し、さる8月24日、りゅーとぴあ及び金森さんに課題と方向性を伝えたところ、「本当に真摯に検討してくれた」と説明。Noism・りゅーとぴあと協力しながら、市民との関係を築き、レジデンシャル組織としての優良事例となること、新潟市の踊り文化に対し、好影響を与えることで、より一層の高評価を獲得していく期待を語りました。

仁多見支配人は、2022年までの活動を認めてもらったことに感謝しながら、課題には「身が引き締まる思いがする。りゅーとぴあとして真摯に受け止め、改善に取り組んでいきたい」と第一声。続けて、「意思疎通を図りながら、全国のモデルとなり得るよう努めていきたい」と。

金森さんは皮切りに、中原市長には、「難しい判断と決定」であっただろうことに思いを馳せて、そして仁多見支配人には、連携の重要性に鑑みて、「力強い協力」を申し出てくれたことに対して、ともに感謝を口にし、「このタイミングで、このような体制で挑めることに感謝します」とも。

次いで、まず、舞踊団の総称を、これまでの「Noism – RYUTOPIA Residential Dance Company」から「Noism Comapany Niigata」に改称する旨を発表。これは、国外での「RYUTOPIAとは?」と国内の「Residentialとは?」の疑問を一挙に解消しながら、より単刀直入に、「Niigata(新潟)」の名を国際的に発信することを可能にするもの、としました。

更に、新体制として、これまでのNoism1とNoism2に、プロフェッショナル選抜カンパニーNoism0を加えた、3部体制にすること、舞踊家とスタッフに関しては、舞踊家1名減、スタッフ1名増で臨むことが触れられました。

その後、「提言」を受けて纏められた「活動方針(案)」(文化政策課)に盛り込まれた6点の課題改善に向けた取り組みや方向性が説明されました。

①地域貢献のための活動: 市内の舞踊団体との連携(R2秋・新潟市洋舞踊協会合同公演における金森さんによる新作振付)、「Noismスクール(経験者向け・初心者向け)」の新規実施、「柳都会」・「公開リハーサル」等の継続実施、更に、市民へのスタジオBの提供等。

②国内他館との信頼関係・ネットワーク: 少数精鋭の選抜カンパニーNoism0(金森さん・井関さん・山田さん)は小規模の故、他館との連携のし易さというメリットがあり、連携には好都合と。

③Noism以外の舞踊の提供: 金森さん以外の振付家招聘公演として、年末からの『Noism1+Noism0 森優貴/金森穣 Double Bill』を実施。独・レーゲンスブルク歌劇場ダンスカンパニー芸術監督を辞し、帰国した森さんに帰国後1本目として、Noismへの振付を委嘱。

④コンプライアンス・意思疎通、⑤労務管理、⑥予算減の可能性: 規約等を再確認のうえ、適切に進める(④)、十分に協議のうえ、改善に努める(⑤⑥)、とされました。

金森さんの説明に続き、メンバーを代表して、井関さんと山田さんもこれからの活動について語りました。井関さんが自身の経験に重ねて、「若い世代の人たちにとって、時間・空間・人のサポートは重要。これからも与えていって欲しい」と語れば、山田さんも「(Noism2リハーサル監督という)責任ある立場として、遠い未来を見つめて、よりよい価値をつくっていきたい」と話しました。

その後、簡潔に、(極めて簡潔に、)『森優貴/金森穣 Double Bill』について触れられたあと、報道各社からの質疑応答に時間が割かれました。ここでは、それらを通して語られたことをまとめてご紹介します。

仁多見支配人: 公演を観ることが生き甲斐になったり、観ることで人生観が変わったり、町の賑わいにも繋がったりと、芸術活動の意味は大きい。公共劇場に課せられた責任の重さとともにやりがいを感じる。

Noismはりゅーとぴあ専属の舞踊団、それをどう支えていくかが課題解決に向けて最も重要なところ。職員全体がそういう意識を共有しながら進めていく。公演の度、スタッフには負担も大きい。実態に目を通しながら、金森さんと一緒に体制作りをしていきたい。

支配人になってから、初めてNoismの公演を観た。言葉にならない感動とはこういうものなんだなと知った。人生観も変わるくらい凄い。必ず感動します。まず一度観ていただきたい。

中原市長: 文化を創造し、世界に向けて発信していくところに予算を使う意味がある。「3年後」は正直、未定。レジデンシャルカンパニー制度が新潟市として持続可能か、全国的にも意味を持ち得るか、定期的な検証は必要。

今回、私が市長になって検討することになった。そのなかでも、金森さんはキチンとした話し方をされる。世界的にも評価される金森さんが真摯に受け止めてくれ、解決しようと決意してくれたことを有難く思う。こういう方から新たに色々取り組んでいただくのだから、必ず評価は高まっていくものと確信している。新たなファンも必ず生まれる筈。

名称も新たに「Noism第二幕」の開幕。芸術性の高い素晴らしい舞踊を楽しんでいただきたい。期待していただきたい。是非応援してくださいと言いたい。

金森さん: Noismの存在理念が討議されたのは今回が初めて。特別の感慨がある。それぞれの「課題」に対して驚きはなかったが、同時に、どれもNoismという一舞踊団だけで取り組める性質のものではない。支配人から「力強い協力」の言葉を得て、取り組めるんじゃないかと思うようになった。

「財政再建」問題は、新潟市民として「関係ない」と言って済ませられるものではない。粉骨砕身、頑張っていくことしかない。時間は大事だが、あればいいというものでもない。限られたなかで、成果を出していくことが問われている。具体的に動いて、適宜、その都度、改善していきたい。

かつて、芸術家の後ろにパトロンがいたものが、社会制度の中に落とし込んで劇場が成立するようになった。どのようなものを発信していけば地域のためになるのかという問題は、一芸術家としては相容れない部分もある。右目で新潟を、左目で世界を見て、その焦点に浮かび上がるものが自分の現実。

「新潟から世界へ」と言っても、誰も本気で信じてはくれなかったんじゃないかな。(笑)それから15年。今、それだけのレベルのものを地域に還元していきたい。

劇場の扉を開けて外に出ていくことをしながらも、本義は舞台表現。是非、観に来ていただきたい。

会見が始まると、すぐに固さはやわらぎ、終始、穏やかな表情で前向きに語る3人を目の前にして、課題は課題として、一致協力してそれに向き合おうとする新潟市とりゅーとぴあと金森さん(Noism)を認め、少しホッとし、漸く、あの「提言」に対して抱いた違和感も薄らぎました。

未だ、予算や市民貢献活動ほか、制約は多くありますが、「新生Noism Company Niigata」として新たなカンパニー・モデルを立ち上げていってくれるだろうこと、と同時に、支援の輪が広がり、「新たな金森ファン、Noismファン」(中原市長)に囲まれ、誰知らぬ者などない、揺るがぬ「新潟市の顔」となる日のことを思いました。それに向けて、私たちも頑張って支えて参りましょう。新たな一歩が踏み出されました。

終了は見事に予定時間ピッタリの午後3時半。日曜日の「柳都会」も楽しみです♪

(shin)

「金森さん「このタイミングでこのような体制で挑めることに感謝」(9/27記者会見)」への7件のフィードバック

  1. お疲れ様です。今日は私も同席させていただきましたが、まったく間然するところのないリポートに接して感嘆するばかりです。
    この調子で、日曜日の柳都会についてもよろしくお願いします。

    1. あおやぎ さま
      お世話様でした。
      そして恐縮です。
      いただいた音声データで聞き直して、
      少し修正しました。
      有難うございました。
      柳都会も思いやられるのですが、
      挑んでみます。
      (shin)

  2. shin様
    レポートをありがとうございます。
    読ませて頂きながら、涙が…
    やはり、金森穣さん、Noismの真価は、物事を動かすのですね。
    山あり谷あり、どんなときにも進むためのチャンスとしていく。
    新潟のNoismをこれからも熱く応援していきたいです。
    aco

    1. aco さま
      コメント、有難うございました。

      この日の会見、
      示されていた「提言」の内容から、
      「しかつめらしい顔」をした3人を予想してしまう部分もあったのですが、さにあらず。
      入場時には、やや硬い表情にも見えたものの、
      それも束の間、というか、「地顔」なのか(失礼!)というくらい、
      終始穏やかな表情の3人が印象的な会見でした。

      金森さんは「新潟が世界の中で文化都市として認知される、
      それを可能にするのはNoismというカンパニーがあるから、
      そう思って貰えるように精進していきたい」と語りましたし、
      中原市長からは金森さんに寄せる信頼が感じられました。
      そして仁多見支配人からも、りゅーとぴあの責任者として、
      前面に立って支えていきたいという言葉が聞かれました。

      課題はありながらも、Noismの15年間を高く評価すればこその会見だったと思います。

      最後の写真撮影、そのラストに至り、
      記者から3人で握手するよう求められた際には、
      3人揃って、「ああか?こうか?」と同時に腕を上下させるものですから、
      なかなかうまいこと行かずに、笑いを誘いましたが、
      それもご愛敬。
      遂に、しっかりと握手できてみますと、
      もう三者の間に齟齬はないという安心感が伝わってきました。

      「Noism第二章の開幕」(中原市長)。
      三者が力を合わせて課題改善に邁進していってくれる、
      そんな期待感を胸に会見場を後にしたような次第です。
      (shin)

  3. shinさま
    詳細どうもありがとうございました!
    会見では、金森さんに対して、中原市長がとてもリスペクトしていて、丁重だったのが印象深いです。「金森さんはカリスマ性がある。輝いている」とまで言われたのには驚きました。

    市長としての個人的(?)なお話もあり、中原市長ってこんな人だったんだ~♪、と認識を新たにしました。
    市長が金森穣Noismのことを本当に高く評価していることがわかってよかったです。とてもうれしいです。

    仁多見りゅーとぴあ支配人の発言も とても心強いものでした。
    shinさんが書かれている通り、「このタイミングで、このような体制で挑めることに」、私も感謝、感謝、大感謝!
    ホッと一安心です。

    Noism1新メンバー(男性外国人2名)の挨拶(英語)もあり、佳い雰囲気の記者会見でした♪
    (fullmoon)

    1. fullmoon さま
      コメント、有難うございました。
      まったくもって「佳い雰囲気の記者会見」でしたね。
      ところが、報道は一様ではないようで驚きます。
      (全部に当たってみた訳ではありませんけれど…。)

      中原市長が金森さんを評して語った「カリスマ性」および
      「輝いている」発言は笑いポイントでしたよね。
      それに並ぶものとしては、金森さんが「予算が増えることはないでしょうね」という見通しを口にした箇所と、
      メンバー紹介をする際の金森さん、「ちゃんと名簿を見ないと、
      名前間違えると大変」と言った箇所でしょうかね。

      いずれにしても肩に力が入っていたのは、報道各社の方で、
      前に座った3人はいずれもキリリと「これから先」を見詰めながらも
      力みとは無縁な様子に映りました。
      そんな感じをキチンと伝える新聞はどこだろうか、
      今、そんなことを思っています。
      (shin)

  4. shinさま
    私も新聞を見たいなあと思って、コンビニで買ってきました。
    日経以外の、日報、朝日、読売、毎日には記事が載っていました。
    産経は売っていませんでした。
    (fullmoon)

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