新潟市が活動継続方針案を公表、ボールは市からNoism側へ

8月29日、新潟市はNoism活動継続を条件付きで、2022年8月末まで延長するとし、Noismの活動内容検証と今後の方針案を市のHPに公表しました。(以下のリンクからご覧いただけます。)

https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/shinko/bunkagyousei/buyodankensyo.html

Noism側はこの条件に同意するかどうか前向きに検討するとのことですが、正式決定は今後の協議に委ねられています。

■新潟市(文化スポーツ部 文化政策課)のHPより、「りゅーとぴあレジデンシャルカンパニーの今後の活動方針(案)」は次の通りです。

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【活動方針】

◎レジデンシャル制度の発展・成熟を図り、創造活動を行う国内他都市の公共ホールにも波及する優良な事例となるよう、レジデンシャル活動に取り組む。

レジデンシャル活動が、公共ホールに求められる役割を果たしているか、外部評価を含め毎年度成果を検証し、改善に取り組む。

【今後のNoism 活動】

◎Noism 設置目的の(2)及び(3)を達成するため、以下に掲げる改善すべき項目について合意がなされた場合、活動期間を2 年間延長し2022 年8 月までとする。

<専属舞踊団の設置目的>

(1) 新潟において、質の高い新たな舞踊作品を創造し、全国・世界に向けて発信する。

(2) 地方から大都市に向けての新たな舞台作品の創造・発信のネットワークを形成する。

(3) 活動を通して、新潟における舞踊の普及・育成などを図り、市民文化の振興に貢献する。

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①地域貢献のための活動を積極的に実施する。

例)洋舞踊協会や高校ダンス部等とのコラボレーション、小・中・高校等へのアウトリーチ(学校訪問)活動等

②国内他館との信頼関係を築き、ネットワークを拡大する。

③りゅーとぴあ舞踊部門としてNoism 以外の公演も市民に提供する。

④業務の進め方については、りゅーとぴあの規約等コンプライアンスを遵守し、十分に意思の疎通を図る。

例)プロデュース、マネジメント担当者の配置と活用

⑤超過勤務の縮減など、スタッフの労務管理に配慮する。

⑥Noism の予算額は、りゅーとぴあの文化事業全体のバランスで調整するため、減少する可能性がある。

【評価・検証】

◎改善項目の実施状況について、活動年度終了後に自己評価及び外部評価を実施する。

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高い芸術性は評価されましたが、めでたさも中くらい、とはこのことでしょうか。

示された多岐にわたる条件を全てクリアするには、市や財団の多大な協力と、更なる予算が必要不可欠と思います。金は出さぬが口は出す、みたいなことでは困る訳です。世界に冠たるカンパニーを抱える都市という側面も最大限考慮しながら協議を進めて欲しいものです。

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皆さま、この度、公表された活動方針案ほかについて、いかがお感じでしょうか。コメント欄にて皆さまの思いをお聞かせいただけましたら幸いです。

(fullmoon / shin)

「新潟市が活動継続方針案を公表、ボールは市からNoism側へ」への5件のフィードバック

  1. 皮切りにコメントさせて貰います。

    今回、ブログでご紹介した文化政策課の「りゅーとぴあレジデンシャルカンパニーの今後の活動方針(案)」(R1/08/24)ではなく、
    そのとりまとめに至る、公表された各種資料のなかから、もっとも日付が新しいもの(R1/07/31)、つまり、アーツカウンシル新潟から中原市長に宛てて出された「りゅーとぴあ専属舞踊団の今後のあり方について(提言)」(以下「提言」)のなかから、「これはちょっと」と思われる部分とそれについての私見を書いてみます。以下は、どこまでも個人的な思いであることをお断りしておきます。

    まずは【課題】項目のなかから。
    (1)「事業内容の偏重」という見出しのもと、「リハーサル見学は、りゅーとぴあ非公認のファンクラブ(註:私たちサポーターズのこと)の会員向けとプレス向けに実施されているもの以外はなく、…」の事実誤認は如何なものかと。この「提言」のはるか以前に、対象は支援会員向けに切り替わっていた筈。このあたりの不正確さはあっても、その後、「一般の市民が触れる機会はない。」と文を終えるのには不都合はないというのなら杜撰さ、或いはいい加減さが甚だしいと言わざるを得ません。

    続いて、【提言】項目のなかから。
    (2)「市民に目を向けたプログラムの提供が必要」の見出しのもと、まず最初に、「現状の鑑賞型に的を絞った事業の組み立てでは、劇場専属舞踊団を維持することは困難である。公演を劇場専属舞踊団の重要な事業に位置付けつつ、幅広いプログラムに取り組む必要がある。」で始まり、最後、「いずれにしても、一人のアーティスト(註:この場合、金森さん)、固定したメンバー(註:同様にNoism)による事業展開を行うのではなく、劇場専属舞踊団を中心に、ダンスというキーワードによるさまざまな機会を市民が享受できる、という状態を目指していくことが必要である。」と結ばれる全体から立ち上がる、「錬磨・錬成された身体を有し、世界を視野に収めるトップ舞踊集団でなくても構わない」感への戸惑い、それに伴うシビックプライドの揺らぎ。

    (3)「組織全体で支える体制づくり」の見出しのもと、マネジメントの重要性は理解できるものの、「芸術監督は舞踊部門の創造的な部分に責任を持つための存在であり、芸術家でなければいけない、という訳ではない。」の部分は大きな間違いではないか。更にこの項目が、「公立劇場として、市のおかれている状況や文化ビジョンを意識し、民主的に運営を行っていくことができる人物を選出する必要がある。」で締め括られていることには、「文化」創造への敬意が微塵も感じられず、唾棄すべきものと怒りを覚えます。

    最後に、まとめとみなされる部分からも。
    (4)「文化創造都市にいがたの実現に向けて」の見出しのもと、「新潟にはアーツカウンシルがあり、このような提言やアドバイスを行うことで、より良い状態に持っていくためのサポートを行うことができる環境も整っている。」「劇場専属舞踊団もその意義を広く深く市民が理解し納得できるように、その活動の形態を柔軟に変え、また多様なダンスのあり方で市民に寄り添うことが必要である。」に溢れる甚だしい「勘違い感」はどうしたものでしょうか。この程度の「提言」(失礼)を行うだけの存在が捉える「市民に寄り添う」「より良い状態」の全体像を共有することは(少なくとも個人的には)困難です。私はこれからも「世界トップ」を張れる、その意味で観る者が近づき難い位の「本物のダンス」だけを観続けたいのです。実際に手を繋いでくれる機会があるとしても、「会いに行ける2流の舞踊家」にいて欲しいのではありません。

    私は金森さんが提起する「劇場100年構想」に深く感銘を受け、(どこかでどなたかが正しく表現されたように、)芸術がいかに「公益」たり得るか、その壮大な「社会実験」をこれまでにない新たな「新潟」型と見ることにも、強いシビックプライドを感じてきた訳で、それは彼らが国内外で獲得してきた名声だけによるものではありませんでした。少なくとも、これまでNoismが歩んできたのは、ある意味「尖った15年間」だったかもしれませんが、それを否定しにかかるのではなく、その方向性を最大限に保障しつつ、その延長線上に、いかに市民を巻き込んでいくべきかを提言して欲しかった、今はそんな思いしかありません。

    長くなりましたが、最後に、「劇場専属舞踊団検証会議(第2回)」意見まとめ(R1/07/08)から、ふたつだけ「トンデモ発言」を引いて、おしまいといたします。

    ●本当に良いアーティストは資金集めも上手い。
    ●Noismとの契約が終わっても専属舞踊団という仕組みを残すという選択肢もある。コンテンポラリーダンサーの中にも芸術監督をしたいと考えている人はいる。チャンスが増えるという意味では有りかもしれない。

    …まだまだありますが、とりあえずこのへんで。
    今回、様々な資料を丁寧に公開して頂いたことには感謝しかありません。
    それに基づきまして、「一新潟市民」として思うところを書かせていただきました。
    是非、多くの方からも公表された実際の資料にあたってみて欲しいと思います。
    (shin)

    1. shinさま
      コメントありがとうございました!
      諸々同感です。

      検証会議委員の中には、Noismのことをあまりご存知ではないような方もいらっしゃいますし、有識者ヒヤリングにしても、有識者がどなたなのかは存じませんが、多様な考えがあるのは仕方がないと思います。
      そして、Noismの活動継続を求める有志一同が提出した要望書2種も、掲載されていてよかったです。

      以上の、ある意味「直接の関係者ではない」意見と違い、新潟市芸術文化振興財団内の「アーツカウンシル新潟」の提言は、いったいどうなのでしょうね。
      金森穣Noismのことを上げたり下げたり、否定したり肯定したり、矛盾も誤りもあり、いろいろ忙しい内容と感じました。
      そして最後には、
      「新潟にはアーツカウンシルがあり、このような提言やアドバイスを行うことで、より良い状態に持っていくためのサポートを行うことができる環境も整っている。」と、しっかり自己PRをしています。

      それならば、金森穣Noismへの課題を、人手不足+労務管理の配慮、を指摘されているNoismに代わるくらいの勢いで、アーツカウンシル新潟も主体となって見事にクリアしてみせてほしいものです。

      そして、それは 金森穣Noismの換骨奪胎を狙うものではなく、shinさんが書かれているように、「劇場100年構想」のもと、金森監督が目指してきた方向性、一流であり、「「世界トップ」を張れる、その意味で観る者が近づき難い位の「本物のダンス」」、という方向性を「最大限に保障しつつ、その延長線上に」あるものとして実現されることを強く願っています。
      (fullmoon)

  2. まず、メルマガ007号に載せるべきなのに漏れてしまった報道につきまして。次の008号に収録しますが、先にここでお詫びとともにお伝えします。

    ■日経 8/29 (北関東・信越カテゴリ)
     新潟市、舞踊団「Noism」活動延長へ 課題改善条件に
     https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49164250Z20C19A8L21000/

    今夏、Noism 存続問題に関する報道の嚆矢となったのは、7月29日の日経記事でした。当然今回も真っ先にチェックすべきところ、遅れてしまいました。日経の中の人と読者の皆様、ごめんなさい。

    さて、私はよそもんなので、新潟市の地域事情についてはよく存じません。ただ、「アーツカウンシル新潟」は「(公財) 新潟市芸術文化振興財団」(長いので、以下「芸文」と書きますね) の一部門だそうですね。芸文の一部門が、同じ芸文の中に置かれている Noism に関して上から目線で「提言」ねえ… ちょっと不思議です。

    サポーターズのことを、わざわざ「りゅーとぴあ非公認のファンクラブ」などと書いているのは、「非公認」の相手に対して特典を付与していたのが不都合であり、そうしてきた Noism が悪いとの印象を読み手に与えようと意図しているんだと思います。もしそれを不都合だとするならば、どうして芸文内部で調整してこなかったんでしょうね? 「専属舞踊団検証会議及び有識者ヒアリングの結果について」の中で「(Noism は) りゅーとぴあと話し合いができていない状況である。」などと書かれていますが、芸文/りゅーとぴあだって、Noism と話し合いせずに放置してきた当事者ですね。

    芸文/りゅーとぴあのサポートがあれば、たとえば税額控除団体になることを見据えて寄付会員を一口3千円にしていたでしょうし、「りゅーとぴあ メールマガジン」が Noism 新潟公演の直前に発行する号において、Noism 公演をガン無視するなんてこともないでしょう。そうした事柄に接して、ああ Noism は芸文の中でサポートを得られていないんだな、とは思っていましたが、今回それが公式に明らかになってしまいましたね。

    で、どうも「提言」を書いた人は「芸術監督」の語義をりゅーとぴあにおける職名と混同して曲解しているような節がありますね。3ページの最後にある「芸術監督は舞踊部門の創造的な部分に責任を持つための存在であり、芸術家でなければいけない、という訳ではない。」の前段、「創造的な部分に責任を持つための存在」とはいわゆる芸術監督そのものであり、芸術家でなければならないですよ。その次の文「公立劇場として、市のおかれている状況や文化ビジョンを意識し、民主的に運営を行っていくことができる人物を選出する必要がある。」に続けるために、むりやり「芸術家でなければいけない、という訳ではない。」を持ってくるから話がめちゃくちゃになるんです。

    「公立劇場として、云々」を実現させるのは劇場支配人、もしくは部門支配人の役目であって、芸監じゃないですよ。(この最後の文は、有り体に言えば「金森じゃダメだ」と言いたいんでしょうね。) 本来マネジメントを仕事とするべき劇場支配人は、今まで一体何をしてきたんでしょうか。芸文側の認識不足や怠慢についてはまったく触れず、一方的に Noism を攻撃してばかりなのは、「提言」を書いたのが芸文に他ならないからですね。

    それから、「・事業内容の偏重」セクションに「りゅーとぴあはNoism の公演を観に行く以外にダンスに触れる選択肢を提供できていない。」などと書かれていますが、2015年と2017年の2回開かれた新潟インターナショナルダンスフェスティバルについてまったく触れていないのはどう言うことでしょう。初回は「東アジア文化都市2015新潟市」事業の一環だったとは言え、ダンスフェスティバルを新潟にもたらしたのは金森芸監あってのことじゃなかったんですか? 2017年の方は、JR東日本新潟支社や新潟日報、新潟放送、新潟市洋舞踊協会、新潟観光コンベンション協会、新潟市文化・スポーツコミッション、そして芸文と新潟市によって実行委員会が作られて開催されていますよね。足りているかどうかは別として、金森/Noism は地域貢献や市民還元に対する意識がまったくなかったわけではないと思いますよ。都合の悪いことを全部ネグるなんて悪質ですね。

    1. あおやぎ さま
      「悪質」、ド直球にして、誰にもわかる端的な表現ですね。
      で、あおやぎさんが最後に触れた「新潟インターナショナルダンスフェスティバル(NIDF)」についてですが、今回公表された全ての資料のなかで登場してくるのはただ一箇所。「検証会議(第2回)意見まとめ」(R1/7/8)において、「○金森氏プレゼンテーション」部で言及されたのみです。しかし、それに続く(金森さん退席後に行われた)「○意見交換」部以降、この点は一顧だにされることもなく、見事に黙殺されている様子が見てとれます。
      「提言やアドバイスを行うことで、より良い状態に持っていくためのサポートを行う」使命を自覚するアーツカウンシル新潟が、丁寧な拾いだしを怠り、そうした雑な議論を許していることは、とても奇妙に映る他ない訳です。
      財政難から始まったNoismへの逆風を、むしろ我が意のように捉え、そうした顔の見えない風向きに忖度しようという振る舞いに映ります。
      アーツカウンシル新潟はあっても、とても「文化創造都市にいがたの実現にむけて」、「環境も整っている」感じはしない訳です。微塵も。
      否、「環境も整っている」、制度面を見るなら、その引用自体は正しいのでしょうかね。ただ機能していないだけで。しかし、そこが自覚できていないことは致命的だと思います。情けないの一言ですね。
      一個人(一新潟市民)の意見です。
      (shin)

  3. 芸文とアーツカウンシル新潟が連名で市長宛に提出した「提言」、一口に言えば杜撰で悪質ですが、そんなものに過ぎないことは心して読めば誰にでもわかりますよね。あれを提出された市長は「何だこれは」と思ったんじゃないでしょうか。

    中原市長は8月29日の記者会見の席上、「15年の間に検証していれば、これほど多くの課題は出なかった。もっと信頼関係を築けた。」(8/29 UX新潟テレビ21) と述べたそうですが、私として「もっと早くに芸文と Noism との間に介入して、関係正常化を図っておけばよかった」と言いたかったように聞こえます。文化政策課が資料の一つとして「提言」を掲載しているのも、今の芸文はこんなだぞ、と晒し上げて、良識ある新潟市民による監視を求めているようにも解釈できますが、まあこれは私の妄想かしら。ただ、資料を掲載したページに今後の方針(案)を作成するに当たって勘案した事項が記載されていますが、その中に「提言」は具体名をあげて記載されていません。「等」で済まされています。(要望書もですが) まあ、そんなような扱いなんじゃないですか?

    ところで「劇場専属舞踊団検証会議(第2回) 意見まとめ」2ページの最後に「100年構想は周囲のマネージメントがないと厳しいだろう。」とありますが、その通りで、劇場支配人もしくは部門支配人がマネジメントを担い、芸術監督は舞台作品の創作・上演を通じた芸術性の発揮に努める、と言う普通の劇場になればいいんですよ。

    日本の公立劇場だと、貸し館主体、舞台職員が行うのは (実は技術も見識も高いのに) 基本的に設備/備品の管理と操作盤のみ、自主事業はパッケージ買いで済ます(丸投げ)、要するに自分たちは一切リスクを取らないぬるま湯方式が蔓延しています。りゅーとぴあだって Noism 以外はそうでしょう? そこへ金森がやってきてヨーロッパ流の劇場付きダンスカンパニーを始めたわけだから、異文化に接することとなった既存勢力がとまどうのは当たり前です。

    ただ、そこで異文化に抵抗するんじゃなくて、異文化を受け入れて「折り合いをつけられたら」良かったのにねえ。今からでも芸文/りゅーとぴあ側が意識改革をして、自前のコンテンツ、それも世界一流のコンテンツである Noism を全力でサポートする体制に変わらなければ、近い将来 Noism を失い、またぞろ単なる「ぬるま湯会館」に堕して終わりますよ。端から見ているだけのよそもんですが、私はそう思いますねえ。

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