激熱の『R.O.O.M.』/『鏡~』、第2クール3日目(新潟公演6日目)

2019年2月3日(日)「節分」、第2クール唯一の休日公演となるこの日、
新潟市に冷え込みはなく、時折見事な青空が広がる下、
私たちにとっての「恵方」りゅーとぴあを目指し、
実験舞踊vol.1『R.O.O.M.』/『鏡の中の鏡』を観てきました。

私たちの「恵方」りゅーとぴあ

上記の通り、このクールの公演日程中、ただ一日の休日だったため、Noismを介して得た知己が東京、そして京都から遥々足を運んで、スタジオBに集ったのですから、もうこれは「恵方」という言い方も全く大袈裟ではなかった訳です。幸い、穏やかな天候に恵まれたのも「天の配剤」だったのでしょう。

前売り完売で迎えた、この日の公演。スタジオBには期待感が漲っているように感じました。

そして、15時を少し回った頃、
客電が落ち、真っ暗闇を経て、『R.O.O.M.』の幕が上がりました。
そこからはもう目を離せません。新潟公演も折り返しに近づき、
ここまで公演を重ねてきた舞踊家たちは動きもキレています。
特にこの日は新たにNoism1のメンバーとなった男性舞踊家たちが、
「これぞNoism!」とばかりの心境著しい動きを示していたように思います。
この複雑なテクスチャーで構成された作品をそれぞれが見事に身体化して踊り、
観る者の目を奪いました。

客席も激熱の舞台に応えます。
暗転して一旦幕が下り、それがカーテンコールで上がってからはもう、
「ブラボー!」の掛け声がいくつ飛んだでしょうか。
いったい幾人がスタンディングオベーションを捧げていたでしょうか。
スタジオBはまさに大興奮の坩堝と化した、そう言いましょう。
カーテンコールは繰り返され、
拍手と「ブラボー!」が響き渡り、立ち上がる人も増えてきます。
舞台に横一列に並ぶ12人の舞踊家たちに向かって、
観客一人ひとりがそれぞれ精一杯のやり方で身中の感動を伝えようとし、
その熱気が更に興奮を増幅していく…、そんな光景が展開されていました。

否が応にも膨らむ「次」への期待から、
客席は15分間の休憩さえ待ちきれないといった雰囲気で、
皆さん、早めに席に戻って、『鏡の中の鏡』に備えているように見受けられました。

休憩前とは全く趣を異にする音楽が流れ、
同じ「箱」もその表情を一変させます。いつものように。
うずくまる金森さん。いつものように。
しかし、『R.O.O.M.』の熱は確実に引き継がれていた、そんな様子で、
井関さんと金森さんならではの息をのむような「至芸」すら、
もしかしたら会場の興奮を受けて、昂進気味の情緒を示していたのではなかったでしょうか。
美しさも、切なさもマックスのソロとデュエットを前に、
顔が火照り、頭はボーッとしたうえ、涙腺は決壊寸前で、
あたかも心臓が早鐘を打つかのように激しい動悸に見舞われたのは私一人ではなかった筈です。
私たちの感動を伝える手段など数多くはありません。
拍手喝采も、「ブラボー!」も、スタンディングオベーションも、
この舞台を前にしたならば、当然至極なものでしかないのですが、
それしか出来ないというある種のもどかしさに抗い、
心からの敬意を込めて、私たちは手を叩き、声を発し、立ち上がっていたのです。
極めて自然ななりゆきとして。

終演後のホワイエ。
言葉にならないほどの大きな感動を胸に、
上気した顔で微笑むだけで、何を言うこともなく、
仮に同行者がいて、何か語ろうにも言葉が気持ちに追いつくことはなく、
そして何も口にせずとも、お互いに目を見合うだけでもう、
大満足だということが自ずと伝わってしまう…、
目に入ってくるのは、あちらもこちらも、例外なく、そんな光景ばかりでした。

翌日は「立春」、そして新潟公演の折り返し。
月曜日のお客様も、このエポックメイキングな舞台を目にしたら、
虜になること必定、そう確信します。
まだ少しお席に余裕があるようですから、
Noismとともに春を迎えられるというのは如何でしょうか。
明日もまた、大きな感動が、そして「福」が待つ
りゅーとぴあ・スタジオBへ!是非!
(shin)

「激熱の『R.O.O.M.』/『鏡~』、第2クール3日目(新潟公演6日目)」への5件のフィードバック

  1. shinさん
    レポありがとうございます。
    本当に会場全体が上気した表情と熱気に溢れていましたね。
    本当に凄い舞台ですよね。
    東京に行けないのが悔やまれますが、こうして新潟で観れる幸せに感謝したいと思います。
    aco

  2. shinさま acoさん
    今日の公演、そして声援、すごかったですね!
    中原市長もご覧になられていましたが、きっと驚かれた事と思います。
    市長がNoismファンになってくださるとうれしいですね♪
    (fullmoon)

    1. aco さま
      fullmoon さま
      はい、中原市長、私のすぐ目の前に腰掛けられていたのですが、どちらの作品も終始、身じろぎもせずにご覧になっていて、終演後には、他のお客さま同様、最後まで拍手をしておられました。
      更に、途中の休憩の際には、入場時に手渡されたパンフや会報、その他のチラシに目を落としておられましたし、
      新潟市の市長として、きっと誇らしい思いでご覧になられていたものと信じます。
      (shin)

  3. shinさん、fullmoonさん
    回を追うごとに研ぎ澄まされていて、まばたきも出来ずに駆け抜けるような時間でした!
    幕が降りた瞬間、会場全体が息を飲むのがわかりましたね。
    市長さんも楽しまれていたに違いありません。

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