Noism1新作世界初演(初日)、手もなく蹂躙されるその至福

「雪」の予報は出ているものの、まったくその白いものが落ちてくる気配のない新潟市の2019年1月25日(金)午後7時。待ちに待ったNoism新作公演、その世界初演初日の幕が上がり、『R.O.O.M.』50分+『鏡の中の鏡』20分、まさに金森さんが仕掛けた通り、手もなく蹂躙され尽くしたというか、何というか…、感情の振り子が両極に大きく振られてしまったというか…、もう心ゆくまで堪能しました、そう言う以外なさそうです。

スタジオBへの入り口の脇には、
先日、井関さんが受賞されたニムラ舞踊賞の賞状とトロフィーが、
そしてその横には、丁度、この日が授賞式だった金森さん受賞の毎日芸術賞を伝えるパネルが並べられていました。(画像は井関さんのものだけです。悪しからず。)
それを横目にいざスタジオBへ。

期待感を募らせた観客たち。場内暗転。ノイズめいた音楽。
先ずは『R.O.O.M.』の幕開けです。
やがて目に飛び込んできたのは、奥、両脇、天井の4面に正方形の銀色がびっしり張り詰められ、光の反射具合から繊細な市松模様を描いて見える「箱」。ただ「箱」、その内側。それが今回50分間にわたって、何が起きるか、目を凝らして眺める「実験スペース」です。

そして、「えっ! えええっ!!」(絶句)

既に冒頭からやられてしまい、その後も次々やられまくりでした。
見たこともない光景、そして反対に、どこかで、何かの映画で見たことがあるような既視感を覚える光景。
いずれにしても、メンバーの身体を使って、可視化・形象化しようとする何たる強靭な意志であることか、金森さん。

身体?肉体?---否、私が目にしたように思うのは身体的でも、肉体的でもなく、
まったくの別物です。
しかし、たとえそれが単に私ひとりの個人的な印象であれ、
今はまだ初日を終えたばかりですし、
そのあたり、詳しく書くことは差し控えることに致します。

更に、ほぼシーン毎に色味の変わる照明の美しさはどう書いたらいいのでしょうか。
そんな12シーン、引きずり込まれるように観ました。

終演後は、愉悦の拍手喝采と「ブラボー!」の声がスタジオ内を満たしました。
続く15分間の休憩中、観客はひとりの例外もなく興奮を隠し切れない様子でした。

そして後半、遂に『鏡の中の鏡』がそのヴェールを脱ぐ時が来ました。
同じ「箱」を使って演じらるとは知らされていましたが、まったく同一ということはなく、タイトルにもある鏡や照明など、いくつかの細部はこの作品に合わせての仕様に変えられていました。
金森さんのソロ→井関さんのソロ→デュエットという構成で、色濃い不安感と孤独、そして…、お二人でなければなし得ない世界を現出させていました。
金森さんがひく心理学者・ユングの用語であるアニマとアニムスと今作のタイトルに含まれた二つ目の「鏡」とが繋がる世界観とみました。
またしても大きな拍手と飛び交う「ブラボー!」が木霊したことは言うまでもありません。

ほんの15分の休憩を挟んで、感情を両極に大きく振られる2作とは! 

ホント物凄い公演でした。これは絶対見逃したら損です。「もっと観たい!」 

新潟最初の3日間は前売り完売で、この期間、私が買っていたのは今日だけだったのですが、明日、公演1時間前に若干枚売り出される当日券を求めて並ぼうかとマジで考え始めたような次第です。

「掛け値なしに面白いから絶対観て!」、自信をもってそう言いたい、
否、大声で触れて回りたい2作。
明日1/26(土)は17:00開演、
明後日1/27(日)は15:00開演。
期待値のハードルは上げるだけ上げておいても、上げ過ぎということがない筈です。
乞うご期待!
(shin)

「Noism1新作世界初演(初日)、手もなく蹂躙されるその至福」への2件のフィードバック

  1. shinさま
    凄かったですね~!!
    はああ~もう~~
    凄い、としかありません。
    メディア向け公開リハーサルで、一応通しを見せてもらいましたが、あれはあくまで通し。
    照明も衣裳もなかったし、そして・・・
    その上、『鏡~』は初めて見たし・・・
    あああ~もう~やられました~~
    (fullmoon)

    1. fullmoon さま
      コメント有難うございます。
      やられちゃいましたねぇ、見事に。
      やられちゃいましたねぇ、気持ちよく。
      金森さんから産み落とされた新しい「Noismクラシックス」、
      そう呼んでも間違いない2作。
      その2作を同時に見せて貰ったとき、
      まず振り幅の大きさに驚きますよね。

      『R.O.O.M.』、圧倒的な面白さはもう眼福。
      もうそれだけで済むかのようなもの凄さ。
      Noismと言えば、まず「強靭な身体」なのですが、
      この度は「その扱い」に新境地を拓いたように思います。
      金森さん、攻めまくりでしたね。
      そして、あの「箱」の威容というか存在感。
      かなりの強度を備えて設えられていますし、
      そもそもスタジオBから出るのか?
      心配になってしまうほどでした。(要らぬ心配です。)

      『鏡の中の鏡』、色濃く漂う孤独感と絶望、その果てに…。
      こちらも様々、既視感を伴いますが、
      お二人が踊ってこその「域」に達した表現にはため息が出ちゃいます。
      ラストの一瞬まで瞬きできませんでしたね。(してるんだけど。)

      こんなの見せられちゃうから、
      「Noism、好きで良かった」ってなっちゃうんですよね。
      だとしたら、「Noismはちょっと…」という方々に観て欲しい公演ですよね。好きになる以外の選択肢はあり得ないでしょう。
      そんな2作に心を振り回されてしまいました。
      豊かな時間でした。
      (shin)

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