実験舞踊vol.1『R.O.O.M.』公開リハを観てきました♪

曇天なのか小雨混じりなのか俄に判然としないような2019年1月13日(日)、
新しい年の「Noism初め」として、
実験舞踊vol.1『R.O.O.M』公開リハーサルを観てきました。

会場のスタジオBへ足を運んで、入場を待っていると、
Noismスタッフの方からNHKの取材カメラが入るとのお話し。
前々日の毎日新聞、前日の読売新聞、そしてこの日のNHKと
メディアに取り上げられることが続き、
Noism界隈の潮目がいい感じに変わってきたと嬉しさが込み上げてきました。

予定されていた12:30を少し回った頃、スタジオBに設けられた席へと通されました。目の前には客席側のみ開け放たれていながらも、上方を含め、他の5面が区切られた「箱」状の舞台がありました。それはまるで、映画の横縦比2.35:1と横長のシネマスコープサイズの銀幕のよう。「銀幕」、そう、いみじくも、「箱」の内側5面はいずれも銀色のホイル(のようなもの)が張り巡らされています。その「箱」のなか、上手側にひとり板付きのシャンユーさんの姿。

「さあ、始めましょうか」金森さんの声がかかると、
電気的なノイズのような音楽が耳に届き始め、
陸上競技・短距離走のクラウチングスタート然とした姿勢から動き出すシャンユーさん。
そこに一人、また一人と加わり、5人の男性舞踊家のパートです。
音楽同様、彼らの動きも先を見通すには難しいものがあります。
メンズ5名が履いているのはグレーの靴下。銀色の内側に馴染むかのようなグレーは、
電気的な接点のようでもあります。(あくまで個人的な印象です。)
伸び切らない5つの身体が見せるのは、くねくね絡み合うような複雑な動き。

次は、女性舞踊家のパート。
上手側の壁の下から入って来るのは浅海さん、そして鳥羽さん。
やがてレディースは6人に。
彼女たちは揃ってポワントシューズを履いています。
「くねくね」はありながらも、「コツンコツン」と床を響かせ、直線的に身体を上方へと伸ばそうとする動きが含まれている点に、メンズとの違いも見えます。

続いて3つ目のシーンは井関さんと男性舞踊家・ジョフォアさんのデュエット。
ここでの二人はメンズと同じグレーの「靴下」組です。
「そう来たか!」このパートは前ふたつとは趣を異にする驚きの動きが目を奪うでしょう。
詳しくは書きません。ただ、私の目にはキューブリックの「或る作品」を彷彿とさせるものがあったと記すに留めます。
一体何のことやらですよね。
ご自分の目で本番を観て驚き、浸って堪能してください。

この日の公開リハ、デバイスの不具合から音楽にノイズが混じるトラブルがあり、
2度ほど中断をしながら、3つのパートを見せていただきました。
(もっとも、見ている私たちにはノイズか否かはよくわからずに進行していった訳ですが。)
その後は、金森さんによる舞踊の大手術。舞踊家それぞれが示した動きに対して、
「身体の各パートが独立して喋って欲しい!」、
或いは反対に「四肢+頭で『五肢』同時に!」等々、
金森さんの鋭い「メス」が各所で振るわれ、
一人ひとりの動きが別物に作り変えられていく過程をつぶさに見つめました。

私たちと一緒に公開リハを見守ったのが、元メンバーの宮河愛一郎さん。流れる音楽の不具合に対処する金森さんがその姿に気付いたときには「なんでそんなところにいるの?」、そして井関さんとのデュエットにおけるジョシュアさんの動きの修正に余念がないときにあっても「懐かしいだろ?」と声をかけられるなど、お二人が過ごした時間の厚みが伝わってくるようでした。

私たちサポーターズに囲まれる宮河さんの図
公開リハ終了後、
サポーターズに囲まれる宮河さんの図

この日は、『R.O.O.M』の全12シーンのうち、3シーンを拝見したあと、
最後に客席からのリクエストに応えるかたちで、
金森さんから新しいメンバーを紹介して頂き、
13:40頃、公開リハは締め括られました。

「まだ新潟のチケットはあります。
一度観ただけではわからないので」と金森さん。
理解しようとする視線を送るのではなく、
何より、次々繰り出されてくる「くねくね」などを
虚心に見つめているだけで、
目はこれまで出会ったことのない楽しみに出会える筈、
そんな作品として仕上がってくるのだろうことに違いはなさそうです。
ですから、私たちの側もひとつ鑑賞スタイルの「実験」などしてみる
というのは如何でしょうか。
「観ること」の新しい地平が開けることになるかもしれません。

東京公演は既に前売り完売ですが、
金森さんの言葉通り、新潟公演は最初の3日間(1/25~1/27)を除いて
まだお席に余裕はあります。
一度ならず何度か通ってみる価値のある作品であると確信できました。
皆さん、複数回の鑑賞は如何なものでしょうか。
きっと豊かな体験となることでしょう。ご検討ください。
(shin)

「実験舞踊vol.1『R.O.O.M.』公開リハを観てきました♪」への3件のフィードバック

  1. shinさま
    詳細ありがとうございました!
    凄い動きの連続で驚きましたね!!
    皆さま必見ですよ!

    あれで3つのパートということは、あと9つもあるのか~
    金森さんの頭の中はどうなっているのでしょうね~
    皆さまご期待くださいね!

    男性メンバーには、金森さんはすべて英語で話していましたね。
    5名のうち、日本人は1名って、すごいことですね。

    新メンバーの紹介があったし、久しぶりに宮河さんにお会いできたし、NHKの取材・インタビューもあったし、楽しい公開リハーサルでした♪
    (fullmoon)

    1. fullmoon さま
      コメント有難うございました。
      NHKさんの取材も含めて、ホントに楽しかったですね。
      一人ひとり身体各所を別々に動かしたかと思えば、
      他人の身体と一体化して「八肢」一緒に動いたり、
      はたまた、「くねくね」のなかに、
      「コツンコツン」音をたてるポワントがもたらす
      直線的な動きが出てきたりと、
      バリエーションが豊富で全てを語り切ることなど
      到底できそうにありません。
      そして、恐らく今回の主役のひとつであるだろう、
      内側銀色のあの「箱」。
      それら全てが、こちら受け止める側の視線の柔軟さを
      試すかのようでしたよね。

      見せて貰った3シーン、その後の直しにかけた時間を除くと、
      それほど長くはなかったのでしょうが、
      提示される「豊かさ」を食い入るように見つめる幸福な時間でしたね。
      ホントに楽しかったです。
      しかし、まだその3倍、9シーンを未見な訳です。まったく驚きですよね。
      そして金森さんがこの日、その手のうちを全て明かした筈はなく、
      まだまだ驚かせてくれるに決まっているのです。
      クリエイション中の4分の1を観たに過ぎないのですから。

      この日は音のトラブルもありましたが、それさえ楽しめました。
      それというのも、元来、ノイズの散りばめられた音楽を使っているため、
      金森さんが「これじゃ、続けられない」と言ってリハを止めた時でさえ、
      私たちはみんな「?」って感じでしたし、
      色々手を尽くして再開した後も、相変わらずチリチリやる音楽な訳です。
      その点、なんともユーモラスでした。

      そして最後にまたまた飛び出した
      金森さんの「一回じゃわからない」発言。(笑)
      まさにまさしくその通り。これは何度も観なきゃ、正直そう思いました。
      新潟はまだ10公演発売中な訳ですし、
      手許にある4枚だけでは不足な気がしてしまいました。
      前向きに買い足すことを検討してみます。個人的な話でした、スミマセン。
      でも、そのくらい異様で斬新に「攻めてくる」仕掛けたっぷりの面白い舞台が見られること請け合いなのです。
      ですから、まだチケットをお求めでない方は是非1枚。既にお求めの方ももう1枚。
      皆さま、お見逃しなくってことで♪
      …私はいつを買おうかな。
      (shin)

  2. 皆さま
    新潟公演につきましては、チケット絶賛販売中とのことで、
    今ならまだ、皆さまのご都合に合わせながら、
    公演日を選んでチケットをお求め頂けるようです。

    遂に世界初演の幕開けを金曜に控えた週に入り、
    私自身、公演のことを思うだけで、
    あたかも反射の如く胸の鼓動の高まりを感じるようになり、
    もっとNoismの魅力に身を委ねたいと、
    もう一枚チケットの買い増しをしました。

    …会場でお会いしましょう。
    (shin)

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