Noism1『NINA』新潟公演中日&サポーターズ交流会のことなど

この時期、新潟人は雪より雨を嫌います。
なぜなら、単純に濡れるからです。
で、冬の雨の日には、新潟人は口々に言います。
「雨は嫌だよねぇ。雪の方がまだましなんだけど」と。
(まあ、雪が酷かったりすると、それはそれで苦笑いを浮かべながら、
ぼやくんですけどね、新潟人。(笑))
そんな雨の2017年12月16日(土)にあって、救いだったのは、
Noism1『NINA -物質化する生け贄』新潟公演の中日だったこと。
天候以前に楽しみが待っていた訳です。

私は前日、1階席の最後列から観たのですが、
この日は最前列中央から舞台に視線を注ぎましたので、
2日間、まったく違った雰囲気を存分に堪能させて貰いました。

至近距離で観る井関さんの『The Dream of the Swan』は、
表情の細かなところまで確かめられたので、
本当に繊細な作品だということがわかり、前日とはまったく違って見えたくらいです。
悲しみというか、切なさというか、胸が詰まる感じがしました。
前日、ある既視感のようなものを感じていたのですが、その正体もわかりました。
会場中の視線を一身に受けて踊る井関さんの姿が
かつての『Under The Marron Tree』のそれと呼び交わすもののように映ったのです。
(個人の印象です。)
今の井関さんの姿に見とれたことは言うまでもありません。

『NINA -物質化する生け贄』に関しては、最前列であることで、
全体の構図や、全員の動きを一望できない嫌いもありましたが、
その一方、女性舞踊家の目が照明を受けて煌くのが見える点では、
得体のしれないマネキン、或いは人形、或いは傀儡を見る思いがしました。
全体を通して、舞踊家一人ひとりから過度の緊張感がとれ、
前日よりもスムーズな動きになっていた感がありました。

一人の舞踊家が劇場内の空気を支配し尽くした後、
荒涼とした光景を余韻としてとどめる『The Dream of The Swan』と、
舞台上、舞踊家全員、動いていようが止まっていようが、
エネルギーを発散させ続けることを求められ、
各々のパフォーマンスが、
その極限値を示すことで越境していく『NINA -物質化する生け贄』。
どちらも感性と、体力や精神力を総動員して、力いっぱい鑑賞しました。
で、思うのは、何度でも繰り返し浸りたいということに尽きます。

この日のアフタートークで語られたことについても、幾つか拾って、簡潔にご紹介します。
・舞踊家にとって、続けて観られることほど怖いことはない。(有難いことだが、その反面)
その際、一期一会を生き切れるかどうかが問われる。
・良い舞踊家の定義: 舞台を重ねる毎に良くなること。
(↑下の「あおやぎ」さんのコメントに詳細な補足あり。併せてお読み願います。)
・過去を常に刷新していくことが必要なのは個人も集団も同じ。
今まで培ってきたものの切り売りではいずれ枯渇してしまう。
何らかの苦痛を伴う脱皮も必要。
・井関さん: 『NINA』のリハーサルディレクターとしては、
舞踊家として一緒に踊る相手には通常秘密にしていることまで教えた。
この作品は宝物だから、いい形で世の中に発表したいと思ってのこと。
・金森さん: 自ら養ってきたことを他人に与えるのは覚悟のいること。
自分も全部あげた。Noismに賭けていればこそ。
あとは彼らがそれをどう受け取るかだ。 …

その後、場所を3Fのレストラン「リバージュ」に移して、
サポーターズ交流会(当初の「公演感想を語り合う会」)が開催され、
遠くは京都や横浜からの方をも含む24名の参加者を得て、
美味しいお料理とお酒を頂きながら、
Noismへの熱い思いを披瀝しあって、楽しいひと時を過ごしました。

 

会の最後には、「(公然の秘密)サプライズ」として、
金森さんと井関さんがお越しになり、
参加者のボルテージは一気に最高潮に達しました。
ご挨拶を頂いたのち、花束を贈呈させて頂き、
みんな揃っての記念撮影。
全員、はち切れんばかりの笑顔を浮かべていましたね。
会員同士の交流に、敬愛するおふたりとの交流も加わり、
ますますNoismを支援していこうという気持ちが強くなったことと思います。
金森さん、井関さん、お疲れのところ、本当に有難うございました。
そしてこの日参加できなかった方も次の機会には是非お越しください。
一緒に楽しい時間を過ごしましょう。

いよいよ大詰めを迎えたNIDF2017、
金森さんの言葉によれば、『NINA』新潟楽日のチケットは残り少ないとのこと。
演出振付家と舞踊家が渾身の力を傾けて届ける
『The Dream of The Swan』と『NINA -物質化する生け贄』、
是非とも満場の観客でその新潟公演を締め括りたいと思います。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、
人生をすら変える力をもった素晴らしい舞台を是非堪能しに来てください。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。

【追記】
新潟公演楽日の12月17日(日)は、同じりゅーとぴあのコンサートホールにて、
「第18回新潟第九コンサート2017」(14時~16時予定)という市民参加型のイベントがあり、
りゅーとぴあ界隈や駐車場が混雑することも予想されます。
特に、車でお越しの方はその点を頭に入れてお出ましください。
(shin)

「Noism1『NINA』新潟公演中日&サポーターズ交流会のことなど」への3件のフィードバック

  1. お疲れ様です。
    > ・良い舞踊家の定義: 舞台を重ねる毎に良くなること。
    と書いてあると、金森が定義する「良い舞踊家」がこう言うことだと受け止める向きがあるかも知れませんが、金森の発言は「良い舞踊家の定義はいろいろあるけれども、その一つとしてこう言うことがある。少なくともそうでない人は才能がない」と言うことで、良い舞踊家とされるための必要条件を述べていたのだと思います。
    それはともかく、明日のシンポジウムのリポートよろしくお願いします。

    1. あおやぎ さま
      舌足らずだったところ、補足頂き、感謝です。
      とても助かりました。
      簡単に纏め過ぎました。
      シンポジウムについても、荷が重いところがありますが、
      何とか頑張ってレポートしたいと思います。
      (shin)

  2. shinさま
    2日目の公演もとてもよかったですね♪
    私は初日上手側、中日下手側、そして本日最終日は中央で観ます。
    見え方が違っておもしろいですが、3日間ではやはり足りないので、埼玉も2日間行きます。楽しみです♪
    Swanは埼玉ではやるのだろうか??

    さて、昨日の交流会、楽しかったですね!
    サプライズ登場が遅くなりましたが間にあってよかったです。

    皆様ご参加どうもありがとうございました。
    記念写真は後日皆様にお送りしますね。

    では、これからりゅーとぴあへ!
    (fullmoon)

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