サクッとNIDF2017 その3(10/15:中国・香港・城市当代舞踊団(CCDC))

NIDF2017前半最後の公演は2017年10月15日(日)中国・香港の城市当代舞踊団(CCDC)。
開場時間(17時)少し前の劇場入り口付近は、お向かいのコンサートホールでの催し
河瀨直美演出のプッチーニ『トスカ』が終わって間もない時間帯だったため、
人々の動きが輻輳し、賑やかで華やぎのある様子を見せていました。
しかし、「混雑」までいかなかったのは幸いでした。

そんななか、個人的な事柄で恐縮ですが、
かく言う私もコンサートホールを出て、劇場へ移動し、
大興奮『トスカ』からのNIDF2017という流れで、
パフォーミングアーツ三昧の1日を過ごした組でした。
(長丁場となりましたので、それなりに脳は痺れましたけれど。(汗))

この日の城市当代舞踊団の演目は、『Amidst the Wind』(風のさなかに)と題された
オムニバスもので、5人の振付家による10作品からの抜粋作品とのことです。
(会場で配付されたペラ1枚のプログラムには
より細かく14ヶのフラグメントとして記載されています。)

緞帳があがると、舞台やや下手に横たわる男性がひとり。
身体に掛けられていた布が上手側に飛ばされてしまうと、起き上がり、
半裸の衣裳で自らも上手袖へと歩いて姿を消していく第1フラグメント。

そこから次々繰り出されたのは、音楽も、衣裳も、踊る人数も、
そして勿論、ダンスのテイストも、悉くその趣を異にするオムニバスでした。
身体性に特化した作品があったかと思えば、コメディーリリーフのようなものもあり、
現代的なものもあれば、伝統的な文物が前面に押し出されたものも。
はたまた、機械的な動きに見えるものから、恋愛や苦悩する心情を表現したものまで、
といった具合に、城市当代舞踊団というカンパニーを俯瞰できる
バラエティに富んだ演目だったと思います。

いずれにしても、ひとつのフラグメントから次へ移る際の衣裳替えは
さぞや大変だったろうと思うくらい、敢えて脈絡ではなく、
多様性を志向するかたちで編まれた作品でした。

個人的に惹かれたのは、2番目の、男女とも色鮮やかで厚手のスカートを纏って、
くるくる独楽のように回転する作品(”Fragile Beauty”)、
また、赤いケミカルのトップスを身につけて、
どんどん加速していくリズムに合わせて動きを刻む作品(タイトル不明)、
そして後半、緑の照明のもと、スーパーマリオを思わせる緑のキャスケット帽と、
緑の襟付きベスト+緑のチュチュに身を包み、オモチャの兵士然とした風情で
各々がキビキビとメカニカルに、その身体性を見せつけて踊る作品
(”Sexing Three Millenia”)でした。

前のフラグメントのダンサーが未だ舞台からはけてしまわないうちに、
重なるようにして、次が始まってしまう形の繋ぎが多かったため、(余計に脳が痺れて、)
途中で、「今、何番目なのか」については頭から追い払って舞台に向き合いました。
そのため、上のように、各タイトルが判然としないことになってしまいました。(汗)
そんな約80分間に及ぶ多彩な抜粋作品は、
シャツの裾をルーズに出した黒のスーツ姿
+チャップリンでお馴染みのボーラー・ハットで、
『コーラスライン』のような、或いは、一昔前の某金融会社CM(!)のような群舞を
敢えて殊更にスローで踊る作品で締め括られ、
投げ上げられたハットを舞台に残し、緞帳が下りました。
(以上、個人の印象です。)

今回も、終演後に行われた城市当代舞踊団の創設者にして芸術監督のウィリー・ツァオ氏と
金森さんの間で行われたアフタートークについて記します。

---2年前(NIDF2015)と違って、今回はオムニバス作品だが、それについて
☆振付家ひとり2作品ずつ選んでいる。動き中心のもの、物語を伝えるもの等、
多岐にわたるため、ダンサーにとっては厳しいものがある。
構成・順番は自分(以下、ウィリー・ツァオ氏)が決めた。’weird(奇妙)’なものが好き。
★香港返還から20年、英国色が強く、多様性に富んだ香港市民だった日々から、
背後に本土・中国の存在感・圧力を感じる現在へ。
☆過去→現在→そして未来、香港の人々の感情、アイデンティティも大きな変化を被っている。
そうしたロジックもこの作品に込めている。

---中国におけるコンテンポラリーダンスの立ち位置はどのようなものか?
★「オープンドア・ポリシー」の許、社会やコミュニティの変化、
アート・フォームの変化を受け入れようとしている。
☆この10年というもの、政府も、クラシックダンスや民族的舞踊だけでなく、
コンテンポラリーダンスを認めるように変化してきている。
その需要の広がりを認め、プロジェクト・ベースでのサポートも増している。
★5年ほど前から、上海、北京のみならず、22市で、独立したダンスカンパニーが出来ている。
☆各カンパニーは、稽古の環境の不備など、それぞれが様々な問題に直面しているが、
シーン全体には高揚感が感じられる。

---どのようにしてカンパニーを率いているのか?
★アート・フォームについてはオープンであることを重視し、
方向性をひとつにしてしまわないようにしている。
☆カンパニーはアーティストにとってのプラットフォームのようなものであって、
常に様々な要求に対応できるようであることを求めている。
★コンテンポラリーダンスは多様であるべきで、フリーなものだという信念は変わらない。

---振付家や、主催するフェスティバルに招聘する舞踊団の選択の基準は?
☆たとえ有名であったとしても、性格に難のある人は避ける。関係性のいい人と仕事がしたい。
★また、違ったものを持つ人と仕事することも多い。

---城市当代舞踊団(CCDC)の次のビジョンはどんなものか?
☆社会は急速に変化している。スタイルを定めることなく、できるだけオープンにと考えている。
★「ゴール」を定めると、他のものが見えなくなり、見失うものも出てくる。
☆香港は元々オープンな街、出来るだけオープンに、と・・・  等々。

ウィリー・ツァオ氏の一貫した「多様性」志向の精神には、
金森さんが「Noism」の名に込めた思いと重なる部分も多いはずと感じながら、
おふたりのやりとりに耳を傾けていました。

いよいよ、NIDF2017も大詰め。
我らがNoism1が、『NINA -物質化する生け贄』を引っさげて、
来週は韓国公演、来月には、杭州と香港で公演を打ったのち、
待ちに待った新潟公演(12月)でフィナーレを迎え、
その後の埼玉公演(来年2月)へと引き継がれます。
本日、新潟公演チケットの一般発売が始まりましたが、
Noism初期の代表作の、満を持しての登場ですから、
期待はますます募りますね。
良いお席はお早めにお求めください。  (shin)

「サクッとNIDF2017 その3(10/15:中国・香港・城市当代舞踊団(CCDC))」への4件のフィードバック

  1. shinさま
    今回も詳細なレポート、どうもありがとうございました!
    次から次へと多様な舞踊が繰り出されて面白かったですね。
    私はshinさんが書かれていた、緑色の”Sexing Three Millenia”後半の、男性ソロの踊りに惹かれました。
    そのあとの”She Says,He Talks-Leaving&Living”の前半(12番)もよかったです。
    最後のダンスの、チャップリン帽子はボーラーハットと言うのですね。
    今回の城市当代舞踊団は、先回の歪みを伴うような作品と異なり、舞踊の祝祭と称するだけあって見やすい演目でした。

    『NINA』チケット、一般発売開始ですね!
    NIDFの3舞踊団鑑賞後の、Noism1『NINA』、ますます楽しみです♪
    (fullmoon)

  2. fullmoonさま
    コメント、有難うございました。
    舞台袖での「早着替え」はさぞや「戦場」みたいだったろうと
    想像されるくらい、良い意味で「バラバラな」フラグメントで
    構成された作品でしたね。

    ところで、情けない話ですが、
    上の投稿のなかで、痺れた脳での同定を避けた
    「赤いケミカルのトップスを身につけて、
    どんどん加速していくリズムに合わせて動きを刻む作品」は
    何番目で何というタイトルだったでしょうか。
    5番の”Second Thoughts”でしたっけ?(汗)
    確かなところを、教えて頂けましたら幸いです。
    宜しくお願いします。 (shin)

  3. shinさま
    ご質問の「赤いケミカルの~」作品ですが、すみません。私も定かではありません。。
    でもペラ・プログラムを見ると、ダンサー人数と順番的に、shinさんが仰る通り5番ではないかと思います。
    衣裳も踊りもとても派手でしたね~。赤い色が炎のように目に焼きついています。
    (fullmoon)

  4. fullmoonさま
    お答え頂き、有難うございます。
    では、そういうことにしておきましょう。(笑)
    最近、記憶が曖昧で覚束ないなぁ、と痛感させられることばかりで、
    嫌になってしまいます。(涙)

    でも、あの赤、ケミカルの質感と相俟って、都会的で、いい赤でしたよね。
    目に刺さるというか。

    そして両肩を後ろに引いて、胸骨を開くような動きが、
    あの作品ほか何度か見られましたね。割りとツボでした。
    (shin)

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