『Der Wanderer-さすらい人』活動支援会員対象公開リハーサル、新趣向で開催さる♪

2022年11月26日(土)、りゅーとぴあのスタジオBを会場に、早くもNoism0+Noism1『Der Wanderer-さすらい人』の活動支援会員対象公開リハーサルが開催されました。新潟公演の初日が来年1月20日ですから、ほぼ2ヶ月前のこの時期に開催されることは過去に類例のないことでした。

更にこの日は新趣向もありました。予め示されたタイムテーブルには、16時から17時までが〈第1部〉公開リハーサルで、その後、〈第2部〉としてメンバーとのトークが30分間用意されていたのでした。発案は国際活動部門芸術監督の井関さんとのこと。たっぷり一時間半にわたって新生Noism Company Niigataに触れることのできる週末が贅沢でない訳がありません。約30人の活動支援会員がその時間を心から堪能しました。

先ずは〈第1部〉公開リハーサルです。新作の第1部の冒頭から、シューベルトの歌曲にのってのソロ・パートのクリエイション風景を見せて貰いました。16時を少しまわったところで、期待感からアクティングエリアを食い入るように見つめるおよそ30人に向けて、金森さんから「公開リハーサルなんで変な空気作らないでください」とにこやかに「注意」が飛び、場が和むなかそれは始まりました。

そのソロ・パート、順に金森さんの呼び方でご紹介しますと、「糸くんor糸(糸川祐希さん)」(←最年少。この日が20歳の誕生日とのこと。おめでとうございます♪)、「すみれ(庄島すみれさん)」、「ひかる(坪田光さん)」、「さくら(庄島さくらさん)」、「こうた(中尾洸太さん)」、「あきら(樋浦瞳さん)」、「かりん(杉野可林さん)」、「せな(井本星那さん)」、「りお(三好綾音さん)」ということになり、基本的には各ソロのラストには次の演者が登場してきて途切れなく繋がっていくスタイルと言えます。

終始、下手(しもて)側に待機する山田勇気さんの目があるなか、金森さんと井関さんによるクリエイションが進んでいきました。この日は前日とは打って変わって「天使」(井関さんの言葉)の金森さんが実演を交えながら動きの修正を施していくのに加えて、その傍らに立つ井関さんが舞踊家目線でアドバイスを送り、時に山田さんもひとり別方向の離れた位置からふたりの指示のアシストに加わったりする光景をみせて貰った訳です。まさに息のあった「トロイカ」体制でのクリエイションを見た思いがします。

音の取り方。目線、対象を設けて本当に見る。動きの大きさ、速度。
拮抗させてエネルギーを集めて抜かないこと。歌曲の質感を身体化すること。
身体のどこから回転を引っ張っていくのか、どこから動きを作って身体を伸ばすのか。
動きに強弱をつけるために筋肉の質感を変えるイメージをもつこと。
内から外に向けて自分の閉じた空間を広げること。イマジナリーな空間を伸縮させること。
ソロ全体を通して捉えるのではなく、分節して考えることで、破綻を避けることができること。
時間軸的に音楽と同時に動こうとしても無理。自分が動いたら音楽が出てくる感覚でやること。等々…。
予定された時間を約10分ほど延長して見せて貰った〈第1部〉でしたが、金森さんから発せられる言葉と実演とによって、確実にNoism的な動きが各メンバーの身体に落とし込まれていく様子に目はまさに釘付けにされました。

17時10分になる頃、金森さんは掛けていた椅子を手にとると、私たちの後方に場所を移し、そこからの〈第2部〉メンバーとのトークは井関さんのMCにて行われました。主に客席からの質問に答えるかたちで進められていったのですが、客席から尋ねられたのは次のようなものでした。歌曲に合わせて踊ること、スタジオ公演について、公演数の多さ、「新体制」になっての違い、踊る曲名(←これに関しては後日、明記される予定だそうです。)、Noismでソロを踊ることの思い、等々、和やかな空気感のなか、約30分間、様々な切り口からのやりとりを楽しみました。

最後、井関さんから、活動支援会員を対象にどんなことができるか、アイディアや希望を寄せて欲しい旨の言葉が聞かれ、この日の日程が終了しました。ワタクシ個人的には、公演の直前時期にでも、もう一度、「通し」での公開リハーサルを見せて頂けたらと思うものです。

何はともあれ、作品(新作『Der Wanderer-さすらい人)』が形作られていく過程を見せて貰ったうえ、メンバーに直接尋ねたりできたこの日の内容は、実にレア度の高い貴重なもので、真に「至福」レベルの90分間だったと思います。まだ活動支援会員になることを迷っておられる向きは一考の価値ありと思います。是非、活動支援会員になって、更にダイレクトにNoism Company Niigataを応援して参りましょう。

(shin)

「『Der Wanderer-さすらい人』活動支援会員対象公開リハーサル、新趣向で開催さる♪」への4件のフィードバック

  1. shinさん
    早速のレポをアップしてくださり、有難うございます。
    私はとても久しぶりに公開リハーサルを見に行くことが出来たこともあり、至福の時間でした。
    “動き”というものが、どのように身体から発せられるのか、身体の使い方によって、どう見えるのか、またどう使うことによって、その表現が可能になるのかなど、両監督と舞踊家たちのやり取りの中にその変化の過程をみることが出来ることが本当に興味深く、楽し過ぎて、ずっとときめいていました。
    行けないときも、いつもshinさんのレポにワクワクさせていただいていますが、行けたときに読むshinさんレポは、その何倍もワクワクすることを久しぶりに実感しています。
    本番が本当に楽しみです。
    でも、もしも可能ならば、もう一度くらい、公開リハーサルがあったら…!
    期待したいですね!!
    aco

  2. shinさま
    公開リハーサル詳細、ありがとうございました!
    楽しい、美しい時間でした。
    綺麗なものを見せていただきました✨
    懸命に踊り、指導を受けて、何度も踊り直すメンバーの姿を見るのは公開リハの醍醐味ですね♪
    そして、指導をしながら、少しだけ手本を踊る金森さんの動きの素晴らしいこと!
    指導する方もされる方もとても熱心で、心打たれました。
    12月も1月も見せてほしいと思いました。

    そして、そのあとのトーク。
    ソロを踊るだけでも大変なのに、トークは初めてのことだし、あまり気が進まなかったのでは。
    でも皆さん いろいろお話ししてくれて楽しかったです♪
    踊ったり話したり、おつかれさまでした!
    (fullmoon)

  3. aco さま、fullmoon さま
    コメント有難うございました。
    そしてとても恐縮です。
    本当にこんなに早い時期からクリエイションの過程を見せて貰えるなんて、なかなかないことですよね。

    この日はまず、芸術総監督の金森さんの目にはメンバーの心の有り様まで見えている様子に感心したほか、「いろんな方向から舞踊家にアプローチできるのはいい」(山田さん)の言葉通りに、井関さんが舞踊家目線で金森さんの言葉の「翻訳機械」になろうと努めていたり、山田さんがさりげなくアシストにまわったりと「新体制」がいいかたちで機能しているのを見て、嬉しく思いました。

    またこの度の『Der Wanderer - さすらい人』公演が長丁場であることに関して、〈第2部〉のトークにおいて、庄島すみれさんが「公演回数が多いとどうしてもマンネリ化しがちなので、新たに生まれてくる課題に毎回新しい気持ちで挑戦していく」と語れば、中尾洸太さんは「自分で自分の踊りに飽きないようにする」と続け、井関さんも「モチベーションを上げていくのが課題。最終的には自分との闘い」と纏めてくれたことに舞踊家の心の裡がリアルに表現されていてなるほどと思ったものでした。

    そして、メンバー一人ひとりのために作られたそれぞれのソロ・パートがどうブラッシュアップされていくのか、金森さんの要求水準はどう跳ね上がっていくのか、是非とも本公演の前にもう一度、公開リハーサルを計画して貰いたいものだと思いました。
    それにしても贅沢な機会でしたね。
    (shin)

  4. 皆さま
    もう既にご存知かと思われますが、Noism Web Site の方に、
    内容充実の特集ページのなか、今公演での使用楽曲がアップされましたね。
    リンクを貼っておきます。
    全21曲、興味のある方は事前の予習にお役立てください。
    (shin)

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