日常を傍らにする醍醐味を満喫♪ Noism×鼓童『鬼』新潟公演中日

2022年7月2日(土)の新潟市はこの日もうだるような蒸し暑さ。しかし、それを観ている間の感覚はそんなこととは無縁のもの。今ここが2022年7月の新潟市であるという了解は舞台の背後に遠ざかり、いつとも知れず、どことも知れない時空に投げ込まれることのえも言われぬ醍醐味をこの日も満喫しました。それは勿論、Noism×鼓童『鬼』公演のこと。完全に日常を傍らにし、舞台に浸る快感が約束された極上の2演目です。

6F・展望ラウンジから夏の新潟市

「世界初演」に度肝を抜かれた感が強かった前日に続けてのこの日の鑑賞は、どこを観ようかとか、何を待つのかとか、やはり心に若干のゆとりが生まれてはいましたが、それはしかし、客席にあって安心し切ることを意味しません。前日は見えていなかった細部が突出してきては、ドキリとさせられることが続くのですから、その都度、「えっ!」とばかりに取り乱すような焦りの感覚に襲われるのだとも言えるでしょう。そしてこう思うのです。「まだまだ見逃している部分が多く、気付かない細部がある筈。金森さんだもの」と。この度のNoism×鼓童『鬼』はまさしく何度も観たくなる豊穣極まりない舞台です。

怒濤の人形振りが終始見詰める目を楽しませる最初の演目『お菊の結婚』。Noism0の井関さん、山田勇気さんは勿論ですが、要所を締める井本星那さんの艶やかさ滲む存在感も特筆ものでしょう。更にNoism2から出演している糸川祐希さんのフレッシュな長軀も華があり、気付くと追いかけて見詰めていることがしばしばでした。

踊られる可視的な夥しい人形とそこに幾重にも折り重なる人形のメタファー。脱ぐこと、着替えること、或いは重ね着すること。さるCM風に言えば、「そこに愛はあるんか?」的な因習や欲望に染まった共同体(ゲマインシャフト)と完全アウェイの西洋人等々…。
(ロシア語は全くわからないし、ストラヴィンスキーのバレエ・カンタータの方が金森さんのこの舞踊作品のオリジナルサウンドトラックなんじゃないかみたいな錯覚に浸りながら、)25分間観ているだけでもう充分に大満足なのですが、誤って一歩足を踏み入れてしまったなら、読み解かねば気が済まない類いのものがわんさかわんさか出てくる演目でもある訳です。金森さんの頭の中はいったいどうなっているのか、本当に興味は尽きません。

そしてふたつ目の演目は『鬼』。この日も、鼓童によってもたらされた鮮烈な響きが充満する空間(客席)に作曲された原田敬子さんの姿をお見かけしました。「鬼」からはほど遠い印象を受けますが、外見ではわからないことは舞台で井関さんが往還して示すところですし、その当否に関しては知る由もありません。(笑)しかし、そしてそれよりも、作曲者とともにあの厳しい音たちが響く中に身を置いたことは特権的な事柄だったと思います。全身、否、全存在を揺すぶるかのような強打かと思えば、(そう言って適切なら)全休符が立ち上げるどこまでも深い突然の静寂。そうした音と無音とを受容するだけでも相当にエネルギーを要すると言っても過言ではない気がします。

そこに舞踊です。常に私たちは自身のキャパすれすれのところで相対することにならざるを得ません。2日続けて観ても見落としは多数ありますが、全てを観る訳にはいかないのだし、それも止むなしかと思うことにして臨んでいます。

この演目、井関さんと山田勇気さんの表情は刮目に値するとだけは言っておきたいと思います。場面場面でふたりがどのような表情を浮かべるかを見ている/見ていないによって、作品はまったく異なる相貌を呈してくることでしょう。片時も目を離せない力作です。その意味でも、金森さんも言っていたように、体調を整えてご覧になることを強くお薦めします。

終演後、繰り返されたカーテンコール。この日も満席の客席からは割れんばかりの大きな拍手とともに、スタンディングオベーションも見られました。

ツアー劈頭、高い関心とともに耳目を集める新潟3Daysも残すところ、あと1日。新潟楽日のチケットをお持ちの方、お待ちどおさまでした。心ゆくまでご堪能ください。その後、ツアー先でご鑑賞予定の方々、今暫くお待ちください。期待は決して裏切られませんので。

(shin)

「日常を傍らにする醍醐味を満喫♪ Noism×鼓童『鬼』新潟公演中日」への2件のフィードバック

  1. shinさま
    2日目の心地、ありがとうございました!
    ホント、現実を忘れているうちに、今日は早くも3日目!!

    私の席は、初日最前列、2日目最後列、今日はまた前の方です♪
    昨日は一番後ろの席でしたがよく見えました。
    鼓童さんたちの動きや打楽器群もよく見えて、かっこいい~!

    目まぐるしい音と光と動き、コミカルな『お菊の結婚』と、
    強烈な打音と静寂(まさにSound of silence)、そして舞踊、心の奥に入り込んでくる『鬼』。
    もう~痺れますね~♡
    本日も鬼楽しみです♪
    (fullmoon)

    1. fullmoon さま
      新潟公演中日もホント鳥肌ものでしたね。
      場内に漲る気のようなものがバンバン伝わってきました。
      Noismにしろ、鼓動にしろ、一朝一夕には手にし得ない身体を有している強みが今公演の肝ですよね。

      私事ではありますが、この日(7月2日)が、初日でも楽日でもなく、中日であったことから、『鬼』の後、そのまま隣の新潟県民会館に横移動して古内東子も聴いてくることにしたため、ブログアップに時間を要しましたが、一層の振れ幅を楽しんだことが、この日のブログ内容に反映した部分もあると思います。蛇足ながら記しておきます。

      さて、本日は早くも新潟公演の楽日。気迫MAXの舞台に応じるため、こちらも気力を充実させて臨みたいと思っています。
      (shin)

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