愛知公演に行ってきました!

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愛知公演バヤデール、これまでよりも更に磨き上げられ、演出も照明も変わり、出演者の気迫がみなぎる渾身の舞台でした!どこまで行くのか金森穣Noism!!

愛知会場が今回のツアーでは一番大きく、ステージもかなり広いので、それに合わせて当地でのリハーサルは相当厳しいものになったのではないでしょうか。見事な舞台に大拍手です!!!

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全体的に動きがより大きくなり驚きましたが、一番顕著に感じたのが前半の井関佐和子さんのミランです。今までとは何かが違う。バートルへの愛の喜び、そして悲しみ、苦悩がより鮮明になり、たおやかな中にも、運命に翻弄されるだけの弱い存在ではない、芯の強さ、激しさ、一人の女性としてのプライド、等がはっきりと感じられました。

このことはアフタートークで佐和子さん自身も話されていたので、私の目も案外節穴じゃないなと自画自賛、ではなく、佐和子さんの表現力がすばらしい!

後半の亡霊の踊りもとてもよかったです。今回ラッキーなことに、1階11列目のちょうど「あのライン」がまさによく見える席でした♪ 幻のように幽かな精霊たちの踊りが徐々に徐々に広がり、躍動感と力強さを増していく様子は圧巻! そして触れ合うことのないミランとバートル、残された衣裳のなんと儚いこと。。

最後の場面、幻の民の行進は神奈川バージョンでしたが照明は白系でした。あと、私は気づかなかったのですが、アフタートークによると、その前のシーンで柱が倒れる時、ステージに奥行きがあるので、なんと柱を奥の方に6本追加したのだそうです! ほかにも馬賊の仮面や亡霊の衣裳がグレードアップしたように感じたのは私の気のせい??振りも微妙に変わったところがあり、ますます素敵です♪

さて、アフタートークの司会はシニアプロデューサー唐津絵里さんの挨拶とご感想から始まり、最初に金森監督が登壇。愛知の大ホールでやると決まった時から金森さんはいろいろ構成を考えていたそうです。ここが一番ベストになると思っていたそうで、実際そうなったとのこと♪

金森さんは唐津さんの質問に応え、140年前の夢物語であったバヤデールを題材にして、今日的に蘇らせ社会化し、何かを感じさせ考えさせる作品を創りたかったこと、言葉を持ち込むことによって舞踊と演劇を対峙させ、それぞれの専門性を際立たせたかったこと、身体表現の専門性を信じ、これからも向き合っていきたいこと、等を話していると、着替えた井関さんと俳優の貴島さんが登場。

井関さんは、言葉にはすごく影響されるが、舞踊家として原点に立ち返り、発話しない身体の何をもってこれから挑戦していくかを考えていきたいということ、台本にはもともとミランのセリフは少ないこと、愛知公演ではミランは翻弄される弱い女性ではなく、自分で自分のことを決め、死さえも選択していく、ある意味でカルメン的な女性として捉えたこと、しかしそれは前もって決めるとかではなく、その瞬間に生まれる感情であること、等を話されました。

貴島さんは、俳優は言葉を武器にしていることを強く感じたこと、しかしこういう大きな舞台では言葉だけでは無理で、劇場で見せる、見られる身体の存在感がなければならないこと、金森さんには発話前の身体の状態、それから呼吸、そして声の音階という順で指導されたこと、今回のセリフは様式化されたものであり、非日常の舞台では非日常の言葉が必要なこと、ニュアンスを込め感情を露わにすると舞台が日常化してしまい、観客の想像を奪ってしまう、この舞台はそういうものではないこと、ムラカミの役はこの物語を引き受ける立場であり、最初のセリフで草原の国が観客に見えないと困ると思ったこと、等を話されました。

う~ん、NoismもSPACも公共劇場が擁するプロフェッショナル集団だけあって奥が深いです。ちなみに俳優さんたちは日々のNoismメソッドはもちろん、バーレッスンにもちょっと参加されていたそうですよ。

他にもいろいろお話はありましたが、唐津さんの最後の質問は、舞台芸術が劇場においてどうあるべきか、ということ。この問いに対し、「文化は豊かなものであることを浸透させたい。ヨーロッパでも難しくなってきているが、寄せ集めではない専門家集団が劇場でひとつの舞台を創り上げ続けることが日本には必要。そういう人たち(集団)がいることによって持続可能な舞台芸術、ひいては伝統が育まれていく。その伝統を担保するのが劇場ではないか。」というのが登壇者たちの一致した返答でした。

Noism13年、SPAC18年の実績と自信に裏打ちされたこの言葉は重みがあります。おばあちゃんと孫が世代は違っても同じ集団の同じ演目を観ているということ。能や歌舞伎と同じように、Noismひいては劇場文化を孫子の代へ伝え続けていけるかどうかは、金森さんたちではなく、私たち観客一人一人にかかっていると言っても過言ではないでしょう。

ますます進化、深化するNoismバヤデール、今週末の静岡公演がますます楽しみです!     (fullmoon)

追記:愛知での感動の舞台を胸に、翌日は名古屋から静岡へ。スノドカフェでの金森さん&奥野さん&柚木さんトークに行ってきました♪ 詳細また後日。一番感じたのは金森さんのメンバーたちへの信頼と愛です。あんなに厳しくて怖くて何が!?と思うあなたや私。それが愛なんです、信じているんですメンバーたちを。もっと輝く日が来るのを、きっとわかってくれる日が来るのを。

 

「愛知公演に行ってきました!」への1件のフィードバック

  1. fullmoonさん、
    渾身の詳細なレポート、どうも有難うございました。
    舞台の変化(進化・深化)の様子が克明に書き込まれており、
    それを見てとられた眼力に脱帽です。
    更に、通常は嫉妬の対象になりがちな「アフタートーク」も、
    まるで自分もそこにいて、聴いていたかのように、
    内容が伝わってくる要約、とても嬉しかったです。
    大感謝です。
    あと、文中に触れられていた
    翌日・静岡の「スノドカフェ」報告にも期待しております。

    ますます、今週末の静岡公演が楽しみになりますね。
    ご苦労様でした。有難うございました。  (shin)

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