11/15 近藤誠一トークシリーズ 第5回 「訊く」 に行ってきました! 11/19 さわさわ会 懇親会・佐和子さん誕生会 盛り上がりました!

11/19(日)開催、井関佐和子さん誕生会♪
いつもにも増して楽しく盛り上がりました!

まずは斎藤会長から花束贈呈。

佐和子さんに捧げる詩の朗読や、余興の絶妙トークが続きました。

篠田市長は遅れる予定でしたが、ほぼ開会のタイミングで登場!

そして、佐和子さんから参加者への逆プレゼントがあり、金森さんのお話もあり、あっという間に時間が過ぎていきました。

閉会のご挨拶はこのブログにも登場するshinさん。
突然の指名にも関わらず大変素敵なご挨拶でした♪

皆さん芸達者で、お話も上手でアイディアもすばらしく、ビックリしました。
今から来年の11月が楽しみです♪
皆様どうぞご入会くださいね。一緒に盛り上がりましょう!

そして、遅くなりましたが、11月15日(水)りゅーとぴあ能楽堂で開催されたトークシリーズ第5回「訊く」について、ご紹介します。

モデレーターで日本舞踊協会会長の近藤誠一さんは元文化庁長官でユネスコ日本大使でもあった方です。

近藤さんの「訊く」シリーズはこれまで、第1回 2016年4月27日 ゲスト 松本幸四郎、第2回 2016年7月8日  ゲスト 竹本住大夫・井上八千代、第3回 2016年11月28日 ゲスト 坂東玉三郎、第4回 2017年7月26日 ゲスト 牧阿佐美・花柳壽應と、錚々たるゲストを迎えて開催されてきました。
そして今回、新潟市が誇る二人の舞踊家、新潟市無形文化財 日本舞踊市山流家元 市山七十世(いちやまなそよ)さんと、演出振付家でもある我らがボス 金森穣さんがゲストとして登壇しました!

第1部(15時~16時20分)
簡単なご挨拶と登壇者ご紹介のあと、すぐ鼎談。進行役の近藤誠一さんから、「『聞く』ではなく、訊問の『訊く』ですので」という前振りがあり、まずはこの道に入るきっかけや、初舞台についての質問から始まりました。

市山さんは世襲七代目ですので、お母さんのお腹にいた時から舞台に上がっていたそうです。初舞台は3歳だそうです。
金森さんはお父さんが自宅でダンス教室を始めた6歳から踊り始め、高校を中退して17才で渡欧しベジャールに師事、19歳からNDT団員としてプロになり一人立ち。仕送りをしてもらわなくてもよくなったそうです。

このあとのお話は多岐多様でとても書ききれませんので、抜粋でご紹介します。

●舞踊について

日本舞踊の考え方として、市山流は歌舞伎舞踊からの踊りなので、役柄や振りを付ける詞(言葉)を大切にしているそうです。新舞踊や歌謡舞踊は市山流ではやらないそうです。

金森さんのコンテンポラリーダンスについての考え方は、クラシックバレエの延長線上に位置するもので、以前はネオ・クラシックと言われていたそうです。
ところが日本では「コンテンポラリーダンス」というと「なんでもありで素人の踊りもOK。自由に勝手に踊る」という捉え方が一般的で、それは金森さんは認めていないそうです。
(やはり、プロフェッショナルでなくちゃ、ですよね。)

また、舞踊家は、ある程度楽天的、ポジティブでないとやっていけないというのがお二人の共通した思いで、批評、批判等をいちいち気にしていたら身がもたないそうです。

●舞台芸術の発展について

舞踊芸術、舞台芸術の発展のためには公的支援、行政の関与が不可欠ということでも、お二人の見解は一致しました。
近藤誠一さんも日本の芸術文化のためには、これまでの経済一辺倒の考え方では立ち行かないという意見ですが、経済効果云々の経済優先ばかりで、芸術文化になかなかお金が出ないのが問題という三者同様の認識でした。

●日本人として

市山流では詞に振りを付けるので、役柄や言葉の意味の理解が大事だそうですが、その振りと振りの間、次の動きに行く何もない所が重要なのだそうです。
それは「間」とか「余白」と言われますが、金森さんにとってもそれは同じことだそうで、それが日本舞踊のみならず、日本人ならではの踊りのポイントとのことです。

・日本に関連した金森さんのお話

かつて西洋が東洋から影響を受けていた時代があり、日本の浮世絵なども西洋に大きな影響を与えた。
20世紀の西洋人は日本文化の神髄に憧れて、日本独自の文化等を受け入れ、それを身につけた西洋人には、その分野では日本人はかなわなくなってきている。

自分が渡欧していた時期は、日本人は少数で珍しい存在だったが、今は日本人は特別な存在ではない。
20世紀と違い、21世紀はグローバルであることと日本人であることの両方を兼ね備えていなければならない。
欧米が学びたいと思うものを、これからも日本は創造していかなければならない。
そして、日本舞踊のような、これまでの日本の伝統を知的財産として伝えていかなければならない。

日本舞踊や着物に興味関心を持つ外国人は多く、「間」や「余白」を理解し、体得する外国人の「日本舞踊家」が現れるかもしれない。
それは決して悪いことではなく、日本舞踊の発展のためにはむしろ歓迎すべきこと。
日本舞踊を伝えるために、外国人にもわかりやすい、日本舞踊の入門的メソッドを確立するといいのではないか。

(注:というのは、市山流の女踊りと男踊りの足の位置や腰の落とし方等について、市山さんが会場でわかりやすく説明してくださり、金森さんはとても興味を持たれたようでした。習いに行きたいとまで話されました。新しい動き方を学び、吸収したいという気持ちは、洋の東西を問わず、金森さんも意欲旺盛です。

「日本」舞踊であるということにも金森さんは惹かれたのかもしれません。金森さんはもともと「能」については考え方を取り入れていますが、日本舞踊についてはあまり知らないそうなので、かえって興味をそそられたのかもしれません。)

金森さんはさらに、

欧米は「若さ」がすべてで、ある年齢になったら(指導者になるとしても)舞踊家としては引退してしまう。
しかし日本は違う。何歳になっても踊れる間は舞踊家として、死ぬまででも踊ることができる。
激しい動きはできなくても、その年齢でなければ表現できない、熟成した踊りができると思う。
それが日本の伝統であるし、自分も日本人として、今後は年齢に応じた踊りを踊っていきたい。
舞踊は知的財産という認識がなければならない。

と話されました。

他には、舞踊の「解説」について、子どもたちへの舞踊教育について(市山さん、金森さん)、日本人の特質としてのアジア的身体について、渡欧時代について(金森さん)等々、たくさんのお話がありました。

そして、休憩(16時20分~16時30分)を挟み、
第2部(6時30分~17時)は会場からの質問タイム(事前に質問用紙が配布され、休憩時に回収)。

質問:お稽古について(アマチュアとプロの違い)
金森:お稽古は自分のため。プロはお客様のために踊る。
市山:自分は稽古をつける立場だが、教えていると思いがけず自分の方が学ぶものがあったりする。

また、市山さんは初リサイタルを東京でされたそうですが、外国で認められ、東京で認められ、それからようやく新潟で認められると話されました。金森さんも同じ思いだったことでしょう。

他に質問はいろいろありましたが、本文の方に取り入れさせていただきました。
鼎談を聴いて、お二人の舞踊は全く違うものでありながら、共通するところが多いなあと思いました。

「訊く」サブタイトルの「日本舞踊は世界に通用するか?」について、
日本舞踊の合理的メソッドをつくってグローバルに伝え広めてはどうかという金森さんの提言に、日本舞踊の明るい未来を、そして日本の伝統として年齢に応じていつまでも踊ることができるということに、これからの舞踊の可能性を感じました。

そしてなんといっても、金森さんが日本人としてのアイデンティティを持って、今後踊り続けると言明されたのがうれしかったです。

会場には着物姿の人たちも多く、Noism1&2メンバーも全員来場していました。
「訊く」鼎談、大変おもしろかったです♪
(fullmoon)

「11/15 近藤誠一トークシリーズ 第5回 「訊く」 に行ってきました! 11/19 さわさわ会 懇親会・佐和子さん誕生会 盛り上がりました!」への4件のフィードバック

  1. fullmoon さま
    「訊く」鼎談の詳細なご報告、
    興味深く読ませて頂きました。
    お忙しいなか、どうも有難うございました。

    世界の中心が多極化するなかで、
    日本が「伝統」を発信し、
    日本が牽引していく余地もあるように
    感じました。
    その磁場を形成する役割を担える存在としてのNoism。
    これからもますます応援していきたいと思います。

    最後にもう一度、どうも有難うございました、と。
    (shin)

  2. shinさま
    コメントありがとうございました!
    「訊く」のアップが遅くなってしまい申し訳ありませんでした。

    今回、鼎談相手がお二人とも年長者ですし、主催が日本舞踊協会ということもあるのか、金森さんはいつもより(?)控えめな印象でした。
    なので、金森メソッド(Noismメソッド)のことは何も話されませんでしたが、日本舞踊のメソッドとはまた違う、西洋の模倣を超えた日本独自の舞踊メソッドとして、世界が学ぶべき新しい伝統になると思います。

    金森さんと市山七十世さんとの対談は、いつかサポーターズ、もしくは柳都会で企画をと、予てより考えはありましたが、このような形で実現して、とてもうれしいです。
    市山さんは気風のいい方ですし、これを機に、お二人が親しく交流されることを願っています。
    (fullmoon)

  3. 詳しいリポートありがとうございます。

    日本舞踊ですが、所作の洗練された美意識と目線の使い方を徹底するところはぜひ洋舞にも見習ってほしいものだと常々思います。

    洋舞は動きが派手で見ていて楽しいんですが、身体が動かなくなったら終わり。ダンサーの寿命は大変短いですね。日舞の上手い人がホンの一瞬動いただけで、ぐいっと舞台空間を支配してしまう力の強さ。あれは凄い。舞台人としてお客に見せる説得力は
    身体の可動域とかの問題ではないことを思い知らされます。

    > 日本舞踊の合理的メソッドをつくってグローバルに伝え広めてはどうか
    花柳千代さんが著した「実技 日本舞踊の基礎」(東京書籍, 1981) は文字通り基礎的な事項を整理して体系化しようと試みた教科書ですね。もちろん身体を使うことなので、教科書を読んだだけで日舞が身につくわけでは決してありませんが、眼球の使い方や目線のポジションなど、門外漢が読んでも実に面白いです。

  4. あおやぎさま
    コメントどうもありがとうございました!
    さすがあおやぎさん、日本舞踊についても詳しいですね。
    花柳千代 著「実技 日本舞踊の基礎」(東京書籍, 1981)のことはNoismスタッフに伝えます。私も読んでみようかな。

    以前、山野博大さんが新潟にいらっしゃった時、金森さんに日本舞踊の方たちとの交流を勧めていらっしゃいました。
    この機に金森さんには是非にと思います。
    ありがとうございました。
    (fullmoon)

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