『Duplex』埼玉公演初日(2/25)を観ました♪(サポーター 公演感想)

☆Noism0 / Noism1 『Duplex』(2021/2/25@彩の国さいたま芸術劇場〈小ホール〉)

彩の国さいたま芸術劇場小ホールで開催された「Noism0 / Noism1『Duplex』」初日公演を観ました。与野本町の劇場に来るのは昨年1月の「森優貴/金森穣Double Bill」公演以来となります。

全5公演すべてが前売りの段階でチケット完売!新型ウイルスの影響により客席数が制限されているとはいえ、2月はダンス公演が非常に多い時期ですからチケット完売は喜ばしいことです。

最初に森優貴さんの作品「Das Zimmer」がNoism1メンバーにより上演されます。ちなみに出演者変更によりNoism1の井本さんとジョフォアさんは今回オンステせず、Noism1準メンバーの2人(杉野さん、樋浦さん)とNoism2メンバーの渡部さんが踊りました。

「Das Zimmer(=部屋)」と題されたこの作品、メンバーはレトロ風ながら洗練されたかっこいい洋装に身を包んでいます。制作段階で「密室群像劇」との言葉を目にしたこともあり、何らかの事情で外に出られない密室(嵐で閉じ込められた洋館や難破中の豪華客船内など)の中で起こる濃厚な人間模様を見ているようです。江戸川乱歩のミステリー小説の世界を想像しました。

ショパン・ラフマニノフの小曲とともに恋愛や軋轢のドラマを展開します。恋愛もどうやら一筋縄ではいかなさそうで「人物相関図」が欲しくなります。ただしドラマは暗転により突然終わり、普段見慣れているダンスとは違い(ノってきたと思ったら突然切られる)というはぐらかされた感覚もあります。森さんの解説には「外してみる」ことを試みた、とあるので意図されたものだと思います。

休憩をはさみ、金森穣さんの作品「残影の庭―Traces Garden」がNoism0の3人により上演されました。森さんが「部屋」ならば金森さんは「庭」。空間をテーマとする2作品が重なったのも楽しいです。

「残影の庭―Traces Garden」では武満徹の雅楽「秋庭歌一具」が使われていますが、タイトル曲「秋庭歌」は使用されていません。どうしてだろうか、と思い「秋庭歌」の曲についてウィキペディアで検索してみると、「『秋庭歌』は初演の際に舞がつけられていた」とあります。もしかしたら金森さんが初演の舞を尊重して新たに振付しなかったのかもしれませんし、この曲を外すことが「残影」そのもの、という意図なのかもしれません。

舞台はまるで日本の古典芸能のようです。人間が羽衣のような衣装を身に纏うことで精霊としての本性を現す、というのは古典芸能そのもの。3人の精霊が秋の庭で舞い遊ぶさまは、まるで既に伝承されている故事を見ているようです。

途中、古木やその魂(曲中で雅楽が「木魂」という小グループに分かれることに掛けているのかもしれません)も現れ、井関さんの精霊と踊るのも楽しいです。 落葉し精霊が去ったのち、再び羽衣を着た金森さんが現れますが、この金森さんは精霊ではなく「木魂」だったのかもしれません。

ちなみに、私が最近大好きなテレビ番組「ヒロシのぼっちキャンプ」では、ぼっちキャンプを楽しんだヒロシさんが場所を元に戻してからパッと画面から消えエンディングとなります。画面が風景だけになることで「(キャンプを楽しんでいた)ヒロシさんの残影」が強く印象に残ります。「残影」について考えていたら、この映像がふいに思い出されました。

上演は日曜日まで続きます。土曜日には新潟公演にもなかった1日2公演もありますし、怪我や感染がなく最後まで無事公演が成功して終えられるよう見守りたいと思います。

(かずぼ)

「『Duplex』埼玉公演初日(2/25)を観ました♪(サポーター 公演感想)」への2件のフィードバック

  1. かずぼ さま
    ご感想、どうも有難うございました。
    今回の『残影の庭』に『秋庭歌』が含まれていないことは当初からずっと気になっていたのですが、そのことを等閑にしていたことを反省しました。かずぼさんの解釈に感じ入るところが多くあり、とても勉強になりました。

    作品に触れることで、脳裏に浮かぶもの、それこそ芸術鑑賞の醍醐味ですよね。今回、お書きになられたなかでは、江戸川乱歩と「ヒロシのぼっちキャンプ」がそれにあたります。

    後者のテレビ番組に関して、「画面が風景だけになる」効果という一点から、更に、私的に繋いでみます。
    これを読んだ私は即座に小津安二郎の映画を思い出しました。
    小津は畳の上、低い位置に据えたカメラによって、その味わいを醸し出します。
    彼の映画では、まず「からっぽの部屋」が映され、そこに人物が入ってきて、ドラマ(会話)が展開されたのち、人物がフレームアウトして、再び「からっぽの部屋」が映し出されます。
    そこに「無常」や「寂寥」が表出されると感じてきたのですが、
    「残影」という言葉でなら、より馥郁たる情緒を掬って、上手に括れる、そう気付きました。

    金森さんの作品から、かずぼさんによる「ヒロシさん」言及を経由して、私の小津体験に新たな言葉が付されること、この度のご感想から得た豊かさに今、浸っています。
    どうも有難うございました。
    (shin)

  2. かずぼさま shinさま
    どうもありがとうございました!

    『Das Zimmer』の かずぼさんのご感想、面白いですね♪
    同様に感じられた方も多いのではと思います。
    それが森さんの意図というのもなかなかなかですよね。

    出演のNoism1メンバーですが、井本さんは新潟公演には中心メンバーとして出演していたので、どうしたのか心配です。

    『残影の庭―Traces Garden』で、『秋庭歌一具』の第4曲「秋庭歌」は、京都公演では、演奏のみで舞踊はありませんでした。
    タイトル曲なので、その部分は演奏のみをご堪能ください、ということなのかなと思っていました。
    初演時には舞がついていたのですね。
    京都公演では、第3曲で3人は去ってしまい、演奏だけになったので、「あれ?もう踊らないのかな?もっと見たいのに!」と残念に思いましたが、第5曲から再登場したのでうれしかったです♪
    京都公演の短縮映像が公開されましたね!

    新潟公演ではどうなるのだろうと思っていたら、3曲→5曲へ続けての上演となりました。
    京都の舞台は天がとても高く、揺らめく炎が上下する様がとても美しかったです。
    埼玉の会場はどんな様子なのか、とても楽しみです。
    最終日に行ってまいります。

    そして「残影」につきまして。
    かずぼさん、shinさんとも、インスピレーション豊かですね!
    私は「残影」というよりは、ある風景を見て何かを思う、という感じでしょうか。
    たとえば、万代橋を渡るとき、河口側を見れば、海のことや佐渡に行ったことを思います。
    上流側は、りゅーとぴあは見えないのですが、見えなくても、りゅーとぴあのことを思いますし、やすらぎ提でNoismがいろいろなイベント公演をしたことも思い出します。
    今であれば、埼玉でがんばっているんだなあと思いを馳せたりしております。
    (fullmoon)

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