「春の祭典」大千穐楽、北の街に炸裂した幻影♪(サポーター 公演感想)

☆ストラヴィンスキー没後50年 Noism0+Noism1+Noism2『春の祭典』(2021/7/31@札幌文化芸術劇場 hitaru)

 現メンバーによる最終公演でもあるNoism0、1、2「春の祭典」大千穐楽、札幌の地で無事終了しました。

 酷暑、拡大を続ける新型コロナ禍、某巨大スポーツイベントと、北海道行きをどれだけ躊躇したか。それでも、現代に切り結んだ傑作「春の祭典」のひとまずのラスト、この公演がラストになると思われるメンバーの勇姿を目撃する為、予定どおり応援旅行を決行しました。

さっぽろ創生スクエア
札幌文化芸術会館 hitaru(4~8F)
hitaruロビーからのさっぽろテレビ塔

 会場の「札幌文化芸術劇場 hitaru」はオフィスや放送局、図書館などが入る高層ビルの一角。さっぽろテレビ塔もロビーからよく見えます。
この劇場がスゴい! 5階~8階までが客席の為、舞台の天井が高く、また音響も抜群。井関佐和子さんの渾身と、山田勇気さんの安定の受けが冴える『夏の名残のバラ』に引き込まれつつ、「あれ? いつもより音楽が低音まで聴こえるぞ」と気付かされました。映像舞踊『BOLERO 2020』も、今まで観たどの会場よりもメロディが身体に響き、かつ舞台の高さもあって、最前列で鑑賞したにも関わらずとても見易かったです。

 『FratresⅢ』で金森穣さんが舞台に現れた瞬間、嗚咽が漏れたのは何故でしょう。活動継続の危機を経て、さぁこれからという矢先のコロナ禍。カンパニーだけでなく、観客である私たちも、いつ果てるとも知れない苦しみの中で、何とか希望を捨てず、祈るように暮らしています。その万感を、この荘厳な作品には重ねてしまうのです。Noism1メンバーひとりひとりの、いつも以上に気合いのこもった表情、完璧な動きのシンクロ、それを背中で見守るような金森さんのソロ。落涙しつつ、いつか「Fratresシリーズを観ていた頃は、辛い時期だったけれど、何とか越えられたね」と思える日が来ることを正に祈りました。

 そして、特筆すべきは「札幌スペシャル」と呼ぶべき演出の仕掛け。『夏の名残のバラ』ラスト、客席を驚かせる映像が、「hitaru」の客席を使って再撮影されていたのです。また、『春の祭典』ラスト、「人は人と手を繋ぐことが出来るか?」という祈りがこもるような場面で、客席を舞台奥から照射する強烈な光。舞台芸術ならではの、その時、その場での一回性が生み出す、深々とした感激。札幌の地まで出掛けたことで目撃できた「幻影」のようでいて、確かな実感を伴った公演の余韻を、じっくり反芻しようと思っています。

(久志田渉)

「「春の祭典」大千穐楽、北の街に炸裂した幻影♪(サポーター 公演感想)」への4件のフィードバック

  1. 久志田 さま
    コンパクトにまとまったご寄稿、有難うございました。
    また、のちに月刊ウインドの方にも詳述されるとのこと、そちらも楽しみにしております。

    今回の『春の祭典』、4演目もあって、とても豪華でしたよね。
    もう一度観たかったところですが、
    ザ・たっちみたいに「幽体離脱~」なんてできませんので、(笑)
    ツアーでの鑑賞は仕方なく見送りました。
    心残りと言えば、退団するメンバーに拍手できなかったこと。あらん限りの拍手を贈りたかったところです。(涙)

    ところで、恐らく初見の方が多いと思われる札幌の客席の反応・様子などは如何だったでしょうか。まあ、あれらを観て感動しない人などいる筈もありませんけれど。
    それにしても2021年版の『春の祭典』は末恐ろしい傑作ですよね。夜が明けたら、舞台を思い出しつつ、ストラヴィンスキーを聴こうかと思います。

    最後になりましたが、予断を許さない感染の拡大状況にあります。くれぐれも油断なさらず、無事に戻ってきて下さい。
    この度もどうも有難うございました。
    (shin)

  2. shin様

    早速アップいただき、有難うございます!
    足早に会場を後にしたので、観客の反応を掴みきれませんでしたが、スタンディングされる方も多く、拍手は厚かった印象です。
    この状況下ですが、メンバーの万感こもった表情、舞踊に立ち合えて何よりでした

    1. 久志田 さま
      返信、有難うございます。
      今後、Noismにとって、ツアーの拠点会場となることもあり得ますね。是非、行ってみて、場内の空気感も含めて満喫してみたい、そんなふうに思いました。
      しかし、久志田さんの「足早に会場を後に」しなくてはならない状況、そして私が埼玉公演楽日を見送った件等々、いつまで続くのでしょうか。2021年版『春の祭典』のように、この国のリーダーには真摯に向き合って、希望を灯して欲しいものです。
      (shin)

  3. 久志田さま shinさま
    諸々ありがとうございました!
    素晴らしい会場、素晴らしい公演!!
    この世の本当の贅沢を、たっぷりと堪能させていただきました。
    おかげさまで、気力充実、精神充足・安定、ドーパミン充満・・・
    ただただ感謝あるのみです。

    この余韻からは、なかなか抜け出せそうにありませんが、もう8月となり、すぐにサラダ音楽祭が控えています。
    活動支援会員向けの公開リハーサルも予定されています。

    日々更新し進化し続ける、金森穣Noismの輝かしい前途を、期待・祈念してやみません。
    (fullmoon)

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