渾身の熱演が大きな感動を呼んだ『ロミジュリ(複)』大千秋楽(@埼玉)

2018年9月16日(日)。
この日の劇的舞踊Vol.4大千秋楽について記すにあたり、
NoismでもSPACでもなく、全く別の件から書き始めることをお許し願います。
時、まさに午後5時ちょうどくらい。
打ち震えるような感動に包まれつつ、会場を後にし、
歩きながら、劇場内でOFFにしていたスマホの電源を入れなおした際、
目に飛び込んできたニュースの見出し、
「樹木希林さんが死去 最期は自宅で家族に看取られて」に心底うろたえたからです。
75歳。この秋も来月、映画『日日是好日』(大森立嗣)を楽しみにしていた矢先の訃報。
込み上げる喪失感。
飾らない人柄で、奥深い表現を欲しいままにしていた名女優。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

…喪失感。感動が大きかっただけに…。
勿論、それはまた『ロミオとジュリエットたち』のことでもありました。
すっきりと晴れたとは言い難いものの、気温もあがり、
雨が降り、幾分肌寒かった前日とは違うこの日、大千秋楽の地、埼玉は与野本町の天候。
金森さんは、そして舞踊家と俳優はどんな舞台で私たちを圧倒してくれるのか。
退団される舞踊家(中川さん、吉﨑さん)の姿も瞼に焼き付けなくては。
みなさん、そうした共通の思いを胸に、彩の国さいたま芸術劇場を目指した筈です。

この劇的舞踊、途中に約2か月の間を挟むことで、
新たな彫塑が加えられ、
表現は、自然さを獲得して嵌るべきところに嵌り、熟成の度を増しながら、
この日の大千秋楽に至った訳です。
そんな「大航海」を経ての最後の寄港地、彩の国さいたま芸術劇場。
そこはまた言うまでもなく、蜷川幸雄シェイクスピア劇の本拠でもあります。
金森さんのこの意欲的な挑戦を誰より喜んだのは、
物思わし気に娘・実花の写真に収まる今は亡き蜷川本人だったかもしれません。
次にご紹介するのは、メモリアルプレートに刻まれた彼の言葉です。
>最後まで、枯れずに、過剰で、
>創造する仕事に冒険的に挑む、
>疾走するジジイであり続けたい。
>Till the end, never wither, beyond limits.
>Take risks in creativity, and stay at top speed.
>So I wish as a man of theater. 蜷川幸雄

さて、『ロミジュリ(複)』です。
前日のブログにも書きましたが、それはとりもなおさず「生々流転」の舞台。
作品自体が、より自然であることを求め、
あたかも生き物ででもあるかのように、自ら呼吸を始め、
それに応えて金森さんが創造の手を休めることなく動かす構図とでも言いましょうか。
もしかしたら、新潟3公演、富山1公演、静岡2公演、埼玉3公演で、
どれひとつとして同じ舞台はなかったのかもしれません。
いえ、きっとそうに違いありません。

それはまた、新しい総合芸術の在り様を模索する営みでもありました。
舞踊(身体)、演劇(台詞)、文字、映像、更には呪術的な炎と、
あらゆるメディアを縦横無尽に駆使することで結実をみる作品です。
例えば、市川崑や庵野秀明が用いる明朝体寄りの文字が得体のしれない不気味さを示すのに対し、
今回、不在の大公を示すゴシック体の文字は、
威圧感たっぷりに抑圧やある種の「通じなさ」といったものを体現していました。
(それと同時に、仮に明朝体を採った場合、
否が応でも『エヴァンゲリオン』を想起させずにはおかないという側面もあった筈です。)

また、映像で看過できないのは、
ロザラインがポットパンを籠絡させて入手した手紙を読む大写しの映像です。
私の記憶する限り、緞帳に投影されるこの映像は2度差し替えられて、
順に次の3通りがあり、それを観る際も全く気が抜けませんでした。
その3つ、①新潟・富山:読み終えてからも、手紙は両手のなかにある。
②静岡:読み終えてから、それを破る。
そしてこの度の③埼玉:読み終えると、それは両手からするりと落ちる。
そのどれを目にしたかで、ロザラインの印象は全く異なるものにならざるを得ないでしょう。

「奈落」の演出に至っては、この日は会場の少なくとも2、3箇所から、
期せずして「あッ!」という驚きの声が上がり、
一番最初に新潟で観た時の感覚を思い起こすことができました。
ツアー中、唯一、静岡公演のみ、ピットが設けられない劇場形状のため、
「奈落」を用いることなく、亡骸が舞台上に留まるかたちで進行していったことも
ここに改めて書き添えておきます。
「その一瞬」の衝撃こそありませんが、逆に、舞台上が血で染まっていくかのような
おどろおどろしさを幻視するように感じたものです。
そしてその静岡公演以降、
冒頭部分が、舞台上を埋め尽くす夥しい死体のイメージで始まるかたちに改められたことも
大きな変更点と言えるでしょう。

(今回の劇的舞踊における斬新さの最たるもの、ロザラインとロレンスに関しては、
また別の場所(次号のサポーターズ会報)で、触れてみたいと考えています。
少し時間はあきますが、その際、こちらと併せてお読みいただけましたら幸いです。)

そうした舞踊の枠組みに収まり切らない過剰さ加減には、
当然、当惑する向きもあるかもしれません。
しかし、作品同様、私たち自身が刷新されていく感覚は
あまり経験したことのない性質のものであり、
それはまさに「冒険」としか言いようのないものだったと思っています。

この日、当面これが最後の機会になると思いながら見つめた第一部の終わり、
舞台中央奥から白く胡乱な金森さんがゆっくり出てくる場面を観ているだけで、
客席にあって、全身を目のようにして見詰める体の、
その胸部から発する動悸が、あたかも出口を求めでもするかのように、
体内を揺さぶり、総身を経巡った果てに、
内耳に、そして外耳に至って、熱く激しい耳鳴りと化し、
同時に頭はのぼせていくような、まるで触知可能な身体感覚に囚われたことも
書き記しておきたいと思います。
気付くと、自然と拍手している自分がいました。

埼玉公演における驚きの最たるものは、
なんといっても、井関さんと金森さんのパドドゥがひとつ増えていたことを措いてありません。
そして、追加されたふたつめのパで、
ふたり(?←片方はアンドロイドだけに。)の立ち位置がより明瞭になる仕掛けでした。

最後の最後、所謂「屋台崩し」のようなボールチェーンの扱いに至っては、
見るたびごとに鳥肌が立つような感覚があり、この日も例外ではありませんでした。
舞台上、大千秋楽の全てが終わりを告げたとき、
渾身の熱演を繰り広げて、観客を魅了し尽くした舞踊家と俳優に対して、
鳴りやまぬ大きな拍手とあちこちから飛び交う「ブラボー!」の声たち、
更にはスタンディングオベーションが贈られたのは至極当然のことに過ぎませんでした。

拍手に応えるカーテンコール。
笑顔で並ぶ実演家たちの横一列。
中央に金森さん、その左隣(私たちから見て右側)に中川さん。
いつとも知れず金森さんの手のなかにあったそれに気付いたのは、
笑顔の金森さんからさりげなく、実にさりげなく、中川さんに向けて差し出され、
中川さんが反射的に、一層、相好を崩して受け取ったそのときでした。
「それ」、最終盤でベッド上から散らばった小道具の白い百合の花。
勿論、本物の花であろう筈もなく、
まき散らされた人工的な小道具のなかから拾い上げられたに過ぎないただの一片が、
ふたりが重ねてきたこれまでの時間を祝福する、
この上なく感動的なアイテムたり得ることを目撃したこの瞬間の感動には、
拙い言葉をどれだけ連ねても迫れないほどに味わい深いものがありました。
今、こうして思い出すだけでも熱いものが込み上げてきます。

意欲作『ロミオとジュリエットたち』が帰結した大きな感動に包まれながらも、
否、それが大きな感動であっただけに、同時に感じる思いにも強いものがあります。
7月に始まったツアーが全て終わってしまったことからくる寂寥感。
そして、中川さんと吉﨑さん、去っていく舞踊家ふたりへの感謝と喪失感。
かように、Noism 15thシーズンのスタートがいつになく寂しさが相半ばするものであったことも
この場では包み隠さずにおきます。
(shin)

『ロミジュリ(複)』埼玉公演2日目、こみ上げる「マジか⁈」

「秋の3連休ウイークその1」がスタートした2018年9月15日(土)、
この日早くからかなりの雨量をもたらした雨雲も去った与野本町の午後5時。
彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉で
『ロミオとジュリエットたち』埼玉公演2日目を観てきました。

この日に至るまでの金森さんのツイートや
前日の公演をご覧になった方々のSNSなどから
色々変更点もあるだろうことは予想していたのですが、
それでもそんな予想を上回る程に、あちこち手が入っていて、
「えっ、マジか⁈」となってしまいました。
特に、作品の根幹に関わる「ある関係性」を
より明確化して前面に押し出した部分など
まさに驚きを禁じ得ませんでした…。

7月の新潟、富山、静岡から、シーズンを跨いで迎えた埼玉3daysも、
いよいよ明日が大千秋楽。
もう1日残っていますし、
明日また変わる部分もあるかもしれませんから、
今は詳しくは書きませんが、
観る都度、刷新される舞台はまさに「生々流転」。
作品から響きだす声に耳を澄まし、
自ずと見えてくる世界に目を凝らし、
常にとどまることを知らず、
理想の舞台を追求してやまない金森さんの飽くことなき姿勢に、
これまでも、そしてこれからも、この人からは片時も目が離せない、
やはりこの人について行こう、
そんな思いがいや増すこととなりました。

シェイクスピアが書いた、年端の行かぬ若者ふたりの
「ボーイミーツガール」的な恋とその後の運命を描いた
あまねく知らぬ者などいようのない周知の枠組みに、
金森さんによる、今日的な問題系を踏まえた重ね書きが施され、
より緻密で重層的に立ち上げられた時空は、
そこにジュリエットが複数いるだけでなく、
恐らくみんなの共通認識のなかの姿より齢を重ね、ある種「拗ね者」と化したロミオがいて、
更に、「自然の力は偉大」としながらもそれに挑まんとする
医師ロレンスとその被造物ロザラインまでが配されることで、
原作にはない、怪しいほの暗さを纏って私たちを魅了します。

7月には唯一無二と承知していた筈なのに、
約2ヶ月の間をおき、大幅な変更を伴い、
装いも新たに、私たちに届けられたこちら埼玉の舞台は、
より一層の熟成、或いは深化を感じさせるものになっていました。

この日は第一部の終わりにも拍手が起こりましたし、終演後送られた拍手は途切れることを知らず、
それに合わせてカーテンコールが何度も繰り返されました。

明日9/16、遂にラストを迎える『ロミジュリ(複)』、
金森さんはそれをどんな作品に纏めあげてくるでしょうか。
大トリの舞台まで、メタモルフォーゼは続くのでしょうか。
もう既に驚く用意はできていますけれど、(笑)
明日を最後にNoismを離れるメンバーもいますし、
様々な思いが胸を去来したりもします。
今は、明日の公演が待ち遠しいような、
でも、明日はまだまだ来て欲しくないような、
そんな落ち着かない気分に包まれている
埼玉の深夜です…。
(shin)

9/14,15,16 ロミジュリ埼玉公演!

9月より、新メンバーを迎え、Noism 15thシーズン始動!
Noismの活動がますます楽しみです♪
https://mobile.twitter.com/NoismPR/status/1036841739212881920/photo/1
http://noism.jp/20180904_15th_start/

そして早速、来週開幕!
Noism1×SPAC『ROMEO&JULIETS』埼玉公演
日時:9月14日(金)19:00 、15日(土)17:00 、16日(日)15:00
会場:彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉
入場料:一般:5,500/U25 3,500円
※15,16日、残席わずか
http://noism.jp/npe/n1_spac_romeo_juliets_saitama/

7月からのロミジュリ各地ツアー公演、埼玉が最終となります。
どうぞお見逃しなく。
ぜひご覧くださいね!

埼玉でお会いしましょう♪

閑話休題:

★9月1日(土)ギャラリー蔵織(新潟市中央区西堀前通1)での
RGB2ライブに金森穣さん、極秘ゲリラ出演!
https://mobile.twitter.com/jokanamori/status/1035832756633128966?p=v

音楽 福島諭&映像 遠藤龍&立体 タンジェントデザイン(高橋悠+高橋香苗)による、第2回RGBライブに行ってきました!
http://www.shimaf.com/photo/20180901_event.html

昨年の第1回も行きましたが、今回は本当に驚きました。
福島諭さん(エレクトリックギター+コンピューター同時処理)の即興演奏×金森穣さん即興舞踊があるとは!
全くのサプライズで、びっくり仰天!!
なんというラッキー!!!
観客はそれほど多くなく、出演者の関係者とかの方が多かったかも(?)

最初、福島さん(コンピューター)と尺八の方の読譜演奏があり、そのあと福島さんが、「次に即興でやります」と言ったので、尺八との即興演奏かなと思っていたら、どこからともなく、いつの間にか、金森さんが現れていて、舞台の端にある椅子に座っているではありませんか!

どうしてここに金森さんが!?
静かにどよめく観客(私の席の周りには金森さんを知っている人たちが3,4人いたので)。

福島さんの、幽かな雨粒の音のような、ギター+コンピューターの演奏が静かに始まります。
椅子に座っている金森さんは瞼を閉じて瞑想しているかのようです。

演奏が進んでいくと、金森さんの指先が微かに動き、指から手、腕、上半身と、徐々に動きが伝わっていきます。
非常にゆっくりと、音楽に導かれるように、やがて椅子から立ち上がり、ある種奇妙な動きで、舞台中央へと移動していきます。

舞台と言っても狭く、壇があるわけでもなく、金森さんが踊るスペースは一畳分あるかどうか。
とてもゆっくりとした、いつもとは違う、しかし緊張感あふれる、金森さんの動き。
目が離せません。

そして音楽の盛り上がりと共に、次第に動きも大きく、激しくなっていきます。
クライマックスへ!

この感動をなんと言葉にすればよいのでしょうか。

やがて、音楽・舞踊とも、徐々に静まっていき、金森さんはゆっくりとした動きで椅子に戻っていきます。

全てが終わり、嵐のような拍手。
時間にして20分程度、金森さんが踊ったのは15分くらいでしょうか。
終演後、金森さんはどこへともなく、風のように去っていきました。

会場には秘密の通路があるようです。

私は福島諭さんの公演にはなるべく行くようにしていますが、こんなことがあるとは思いもよらず、なんとうれしいことでしょう。
即興ライブ、感激、感動しました。
寿命が延びた心地です。

たまたま私の隣席は、音楽ブログ専門ながら、Noism公演の感想ブログも書いてくださっている、いちかっこジョバンニさんで、お互いに感動の嵐!
ジョバンニさんの今回のブログ、ぜひお読みください。
RGB2の全容がわかりますし、私と違って芸術的な表現です。
http://clothoiddiary.blog.fc2.com/blog-entry-1127.html

翌2日、福島さんは岐阜県美術館で「ぎふ未来音楽展2018」のプレコンサート「音響室内楽」に出演。
https://salamanca.gifu-fureai.jp/wp/wp-content/uploads/2018/08/6d7e5258f6bd0460bb149359d9d24dd5.pdf

あさって9日は「ぎふ未来音楽展2018」のガラ・コンサートに出演して新曲を演奏します。
https://salamanca.gifu-fureai.jp/1667/

●同じく9日、
7月末のNoism2特別公演「ゾーン」演出振付、元Noism所属の
櫛田祥光さんのダンスカンパニー「Lasta」による公演「火の鳥」
が千葉県流山市民芸術劇場で17:00~18:30、開催されます。
櫛田さんご本人、そして、元Noism2の秋山沙和さんも出演します。
https://danpre.jp/5360/

真下恵ダンスパフォーマンス「dana」
日時:10月20日(土)①13時~②19時~
   10月21日(日)③13時~④15時~
会場:砂丘館ギャラリー(蔵) 新潟市中央区西大畑町5218-1
料金:一般/1,800円 学生/1,200円 
定員:各回20名

*9月19日(水)9:00~予約受付開始
申込:砂丘館TEL & FAX 025-222-2676
E-MAIL SAKYUKAN@BZ03.PLALA.OR.JP

詳細:https://www.sakyukan.jp/2018/08/6951

元Noism1メンバー・バレエミストレスの真下恵さんは、新潟でヨガインストラクター、バレエヨガ・コンテンポラリーダンス講師として活躍しています。
何度かインドに行かれていますが、この夏も行ってこられました。
『dana』とは、お布施とか寄付の意味もあるようですが、「与える give」という言葉のようです。

久しぶりの、真下恵さんの踊り、とても楽しみです♪
この公演は、真下さんのほか、コンテンポラリーダンサーさんたちも数名、出演するようです。

このパフォーマンスとは別に、
●西大畑町・旭町文化施設連携事業
【新潟 竹あかり花あかり】関連イベント
真下恵ダンスパフォーマンス

日時:10月20日(土) 18:00~
会場:砂丘館庭園
参加無料(予約不要・直接会場へお越しください)

というソロパフォーマンスもあるようです。

どうぞお運びくださいね♪
(fullmoon)