Noism1新作・第2クール2日目(1/28・SAT.)を観ました

1月28日(土)、fullmoonさんが投稿された前日の公演レポートを読んだことにより、
前週より更に進化・深化した舞台が観られることを確信しつつ、
期待を膨らませるだけ膨らませて、2度目のスタジオBへ。

期待は裏切られることはありません。
動きはこなれて、余裕が感じられる様子にブラッシュアップ。
まったく趣を異にする1部と2部とが、
より大きな統一体へと止揚(アウフヘーベン)されていく、
その醍醐味が今作の大きな魅力と言えるでしょう。
ですから、これも前日fullmoonさんが提起した問い、
「『精霊』のスカートのなかに何があるのか」
---私は第1部と第2部の作品世界全てをその裡に包含する衣裳とみます。
みなさんの目にはどう映りますか。
コメントなどでやりとりできたら楽しいですよね。

(この先、公演に関する個人的な印象を盛り込んだ書き方をしているため、
幾分か、公演内容に触れておりますことを書き添えておきます。
ご覧になりたくない方は、*****印より下まで、スクロールしてください。)

さて、第1部は『マッチ売りの話』、
幕開け前に私たちの耳に届く冷たい吹雪の音は
「初演直前の新潟で録音されたもの」(金森さん)なのだそうです。
前回、1/22の公演後のブログには「ごった煮」と書きましたが、
この日の印象はまったく別物で、
様々な時空、様々な立場にあるはずの9名が
まるでひとつの家族ででもあるかのように映りました。
一人ひとりは異なっているのにも拘わらずです。
哲学者ヴィトゲンシュタインが唱えた「家族的類似性」という概念が浮かびます。
完全に一致する共通点などはあり得ないものの、
様々な類似性が隙間なく重なりあい、交差しあって、
直接、間接に緩く繋がる「家族」という集合体にヒントを得た着想で、
家族のもつ「その家族らしさ」、というようなことになるでしょうか。

そんな観点から、この日、目に付いた細部。
「老夫婦」が冒頭に示す「夜のお茶」の「作法」は
「女」と「双子の弟」たちによって反復されますし、
「義父」が「少女」に加える「殴打」の主題は
「女」によって「双子の弟」たちに対して反復されます。
「老夫婦」は商品名「チャッカマン」で呼称されることの多い点火棒を用いますが、
「女」の方はマッチを用い、
「少女」との連続性を表象します。
そのように散りばめられた様々な細部が「家族的類似性」を色濃く表現していきます。
そしてそれは時代に翻弄されるよりなかった日本人の姿に重ね書きされているようでもあります。
「少女」が数度見せる涙を拭う仕草が胸に迫りました。

第2部は『passacaglia』、
まずはブルーグレーの照明の下、福島諭さんの現代音楽パート。
井関さんと中川さんは、ふたりなのか、それともひとりなのか。
私たちが目撃するのはついぞ目にしたことがない類いの
異なるふたつの身体が同化しては離れる驚きの光景。
「動きを微分化していくと、そのものには意味がない」(金森さん)のに、
10名の舞踊家の身体が、それを越えた何かを獲得していくパートです。

白い照明に切り替わると、一転、そこは情感たっぷりなビーバーの音楽。
ヴァイオリンによる旋律が美しい。
舞踊家も瞬時に典雅な風情を漂わせる、
ある種古典的な動きに切り替わり、ユニゾンで魅了します。
このパート、「その瞬間のエモーション」(金森さん)に目は射貫かれます。

ふたつのパート間の見事な往還が数回繰り返されるあいだ、
私たちは身じろぎもせず、固唾を呑んで、「ふたつの眼」に成り切るのみです。
その至福。まさに眼福です。

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言語化されざる動きがもたらす大いなる感動がここにはあります。
公演を重ねるなかで、「彼ら(=舞踊家)も何かを見出し、
私自身(=金森さん)も何かを見出す」のだそうです。
「(彼らが)今日見出したというところもあって、
面白いなぁと思って、
次はこんなことをやらせてみたいと思う」とは金森さん。
それらの言葉は、常に停滞することのないNoismらしさの、
その根幹をなすものを正確に言い表す言葉と言えるでしょう。

まだまだ先へ行く作品『マッチ売りの話』+『passacaglia』。
何度でも観たい舞台、
友人はそのあたりのことを「週末にNoismがある幸せ」と表現しました。
それを是非多くの方と一緒に体感していきたいと思います。

追記
今回のNoismTシャツ、各色とも良い感じですよ。
私はメンズLサイズのブラックとネイビーを買いました。
価格は2,800円(金文字入りピンクのレディースのみ3,000円)。
とてもクールでお勧めです。

更に、この日のアフタートーク、一番最後に、
金森さんが新潟のことを、
「人生の中で一番長く住んでいる場所。
街が変容していくのを目にし、友人ができ、
『ふるさと』と化していく過程を理屈抜きで感じている。
大切な場所である、既に」と語ってくれたことに、
胸が熱くなったことも書き添えておきたいと思います。 (shin)

1月27日(金)の公演に行ってきました!

初日から1週間。
休演日を経て、ますますパワーアップした舞台を見せつけるNoism1メンバー!
演出も微妙に変わり、特に一番最後、ピシッと決まった終わり方に、即「ブラボー!」と男性の声が。
これで終わりと知っている私は、声に誘われて拍手をしたのですが、観客の皆さんは、誰かのツイッターに書いてあった通り、「よく訓練されていて」、メンバーが挨拶に出てくるまで拍手をしません。
うーん、すごいなあ。
そのあとは万雷の拍手なんですけどね。

この日は篠田昭新潟市長も来場していて、アフタートークの前にご挨拶があり、金森さんを褒め讃えていました♪

アフタートークでは、
・仮面の意図
・このご時世で、不慮の時などには真っ先に(予算が)削られてしまいがちな芸術(分野)について、どう考えるか
・『マッチ売りの話』の一番最後の、少女のシーンについて
・精霊に込めた思い
の質問がありました。

重い話が続き、「今日はなんだか空気が重い」と肩を回す金森さんでした。

精霊役は井関佐和子さんですが、一番最初に登場し、凄いオーラで観客を舞台に引き込みます。
精霊とはいえ、きれいなだけの精霊ではありません。
衣裳の色は白とグレイだし、照明の当て方により、最初は白色だったベールが、途中から黒に変わっていき、不気味な雰囲気です。
この世はきれいごとばかりではなく、光と闇、表と裏、清濁、があることを暗示しているようです。

そして不自然に広がるスカートの下には何が隠されているのでしょう?
まさに『マッチ売りの話』に繋がっていく絶妙の導入です。

1月は全公演、前売り券完売!
当日券が若干枚数あるそうですが、
埼玉公演、2月新潟公演をどうぞお楽しみに!

閑話休題:

26日、奥野晃士さんナビゲートのリーディングイベント、別役実「マッチ売りの少女」。予定時間オーバーながら無事終了しました。
ご参加の皆様ありがとうございました。
27日の公演には奥野さんやご参加の方たちもいらしていて、終演後、「よくわかった!」と笑顔で話してくださいました。よかったです♪

★さわさわ会&Noismサポーターズ ルーマニア・シビウ公演ツアー
4月5日(水)~10日(月)決定!
諸事情により旅程が5日間から6日間になりました。
参加希望の方はお早めに当サイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。
お申し込みいただいてからの航空券手配となります。
お席が取れない場合もありますのでご了承ください。

シビウで『マッチ売りの話』+『passacaglia』を観よう!

(fullmoon)

Noism1新作、第1クール最終日(1/22・SUN.)そして活動支援懇親会

Noism1最新作の初演の幕があがった金曜日も、昨日の土曜日も、
雪が降るぞ、雪になるぞ、と思わせるだけ思わせておいて、
実際はさして降らずにきてましたが、
遂にこの日、雪片が落ちてきました。
しかし、湿り気の多さと、形状が無駄に大きいことから、
新潟県人なら誰しも「まあ、今は積もらない」と思える牡丹雪でしたが、
県外からいらした方々はさぞや心配だったことでしょう。
そんな『マッチ売りの話』+『passacaglia』第1クール最終日の日曜日、
スタジオBへ出掛けて来ました。

各種SNSで目にしていた、前日までの書き込みはどれも
感動の大きさを示していましたし、待ち遠しい思いに、期待は募る一方でした。
そして実際に目にしてみると、その複雑さに酔いしれる自分に気付くことになりました。

(このあと、個人的な印象を含めて、公演内容に若干触れています。
ご覧になりたくない方は、下のお料理とお酒の画像あたりまでスクロールしてください。)

開演。冒頭、一旦の闇を経た後、天井から光が落ちてくると、
舞台中央に、白と濃いグレーが彩なす、裾の長い衣裳に身を包む精霊・井関さん。
上から降り注ぐ照明は刻々明るさを変えていきます。
両の腕を持ち上げる、或いは下ろす、ゆっくりと。
ゆっくり体を捻ると、衣裳もゆっくり捻れる。ひと言、エレガントです。
1部と2部とを繋ぐこの象徴的なイントロ部を観るだけで
手もなくNoismの世界観に引き込まれてしまうはずです。

一転、「ごった煮」感のある第1部は
別役実『マッチ売りの少女』を下敷きにしたオリジナルの物語舞踊。
舞踊家の顔を覆う「仮面」が異なる時間の混在を可能にすると、
マッチとライターと商品名「チャッカマン」で知られる類いの点火棒の3種が、
20年後、そのまた20年後と20年間隔で隔てられた3つの時間を象徴しつつ、
物語が3つ同時に展開されていきます。
人間関係の把握はなかなか容易ではありません。
しかし、それは敢えて志向された複雑さなのであって、
何かが伝え切れずに複雑に見えてしまうのとは根本的に事情が異なります。
謎は謎のままで構わないのでしょう。
舞踊家が繰り出す身体表現を目で追うことで、
たとえ、整理がつかない部分が残ったにせよ、
全体の印象はさして違わないはず、
そう思わせるような第1部に見えました。

井関さんがひとりソロを踊る傍ら、
舞踊家たちの手で
セットが全て綺麗に片付けられてしまうと、
うって変わって抽象舞踊の第2部です。
まずは井関さんと中川さんが絡む、もぐる、捻れる、翻る、解け合う。
互いにアイコンタクトをとらないまま、アウトフォーカスで、
あんなになって、こんなになる福島諭作曲の音楽パート。
カウントの取りづらいシンセサイザー音楽のなか、
頭に浮かんだのは、なんと歌川国芳の浮世絵『みかけはこわいがとんだいいひとだ』。
(個人の感想です。(笑))
ふたつの身体が皮膚レベルで融合して、別のひとつの身体を獲得するかのようです。
アフタートークで金森さんは、このあたりのイメージを、
「雪が溶けて水になる」と表現されていましたので、相当開きがあるかも、ですけど。(汗)
ところが、音楽がビーバー作曲の「passacaglia」に切り替わると、
今度は西洋の「正統的な」舞踊に近付きます。男性5人・女性5人による群舞は圧倒的です。
その後も、福島パートとビーバー・パートが交互に現れ、
舞踊の「洋の東西」が10人の舞踊家の身体を介して
絡んで、もぐって、捻れて、翻って、解け合う印象です。
このスイッチの切り替えには相当な集中力が必要となるはずです。
言葉では表現できない領域を身体で可視化していきます。
観る者も置き換えるべき言葉など容易に見つけられたりはしません。
汗を迸らせながらの熱演にただただ圧倒されるのみです。

そして先日の金森さんの言葉の正しさを知ることになります。
曰く、「一度ではわからない」と。
この日は「1回目より、2回目の方がよくわかるのがNoism」とおっしゃっていた金森さん。
複雑で、到底一度では理解出来ませんでしたが、目は大いに堪能したと脳に伝えてきました。
この後も公演は続きます。
まだまだ変化、変貌を遂げていくこと必至の作品でもあり、目が離せません。
また観ます。まだ観ます。

終演後、アフタートークを挟んで、初めて活動支援懇親会に参加してきました。
金森さん・山田さんをはじめ、Noism1、Noism2のメンバーも全員加わり、
あちこちで、美味しいお寿司と飲み物を頂きながら、
色んな話が交わされた、とても楽しい約1時間でした。

 

画像は左、米粉のキャラメルレクチェロール、鴨スモークと柔肌ネギのピンチョス。
その右隣の静岡・土井酒造場の日本酒「開運」はSPACさんからの頂き物なのだそうです。
私はこちらのお酒を贅沢にも井関さんから封を切って頂いたうえ、
真っ先に、直々注いで頂き、たいへん美味しく頂戴しました。
口当たりが柔らかく、スッキリした甘さで飽きの来ない、いいお酒でした。

NoismサポーターズUnofficial同様、活動支援者にも加わってNoismを応援していきませんか。

さて、話は戻って、『マッチ売りの話』+『passacaglia』。
次の公演は今週末に3日間。
「わかるか、わからないか」はわかりませんが、
それは大した問題ではないようです。
観ることの魅力に溢れたスタジオ公演の会場でお会いしましょう。(shin)

1月20日、初日に行ってきました!

第1部は衝撃的、そして第2部は大感動。
ぜひご覧ください、凄いです、本当にすばらしい。 

いつもいつも期待を裏切らない(裏切りつつも裏切らない)金森穣Noism.。 今回も見事にやられました。
いろいろ詳しく書きたいのですが、今日は初日なのでネタバレしないように、あえて書きません。でもよかったです。本当によかった。

第1部は最初に印象的なシーンがあり、物語に引き込まれます。そのあとの場面は滑稽とも言える動きがありつつも、実はヘビーでハード。
意味はよくわからないながらも、さすがの身体表現展開で観る者を飽きさせません。

引き続きの第2部が凄いです! 
その前の、1部から2部への転換も興味深いです。
とにかく第2部、感動です。 仮面の第1部から、美しくも気高く、複雑な動きの第2部へ。 
過去と現在、宗教と科学、アカデミックと抽象。
キーワードが解明されていく不思議。
その場に居合わせた百数十名にしか得られない、貴重な瞬間の連続。

終演後は金森監督によるアフタートーク。
とても濃い内容でした。

感動の舞台、そして金森さんが謎に応えてくれるアフタートーク。
皆様ぜひぜひお運びくださいね!

さて、サポーターズ会報30号が無事できあがり、公演折込をしてもらっています。
浦野芳子さんによる金森さんインタビュー、山野博大氏のバヤデール評、メンバー全員のメッセージなど、盛りだくさんです。
どうぞお読みください。

そして、公演プログラム&2018年2月までのNoismスケジュールチラシなど、本公演ならではの情報チラシも折込配布されています。

会場ホワイエでは新NoismTシャツや、福島諭さんのCDも販売されています。
ぜひ観に来てゲットしてくださいね。

閑話休題:

第1部の最初、老夫婦の夫が読んでいた絵本は野坂昭如の「マッチ売りの少女」。13日のリーディングイベント、シネ・ウインド市川明美さんのナビゲートにより、その本のご紹介もありました。そして別役実の作品には付きものという電信柱が今日の舞台にもありました。
アンデルセン・別役実・野坂昭如、(そしてたぶんその他も)、を下敷きに、新たなオリジナル作品の金森穣『マッチ売りの話』!
とは言え、アフタートークによると、別役実作品の影響も大きいそうですので、皆様、次のイベントいかがでしょうか。

◆リーディングイベント第2弾!
声に出して読む不条理劇Ⅱ 別役実「マッチ売りの少女」

日時:1月26日(木)19:00~21:00
会場:ブルーカフェ(新潟市中央区上大川前通7-1237-1 サンシャイン新飯田屋ビル2F Tel 025-201-7885)
参加費:1,000円(別途ワンオーダーお願いします)
申込:「新潟おくぬ~倶楽部」 電話・ショートメール090-8615-9942

ナビゲーター:奥野晃士(SPAC俳優)

※Noism劇的舞踊『カルメン』、『ラ・バヤデール-幻の国』に出演したSPAC俳優 奥野晃士さんをお迎えして、別役実の不条理劇「マッチ売りの少女」を読み合う第2弾!Noism1新作『マッチ売りの話』公演期間中のリーディングイベントです。
本来は参加者全員でテキストを読み合うのですが、今回は奥野さんにも読んでいただきますので、読まずに聴いていたいという方も参加OKです。
1回目に参加していなくても大丈夫。最初から読みます。
どうぞお楽しみください。

奥野さんは27日(金)の公演を観に新潟にいらっしゃるので、その前日のイベントになります。 
新潟1月公演は27日のみチケット販売中です。どちらもぜひどうぞお運びください。

ルーマニアでNoismを観よう!!
さわさわ会&NoismサポーターズUnofficial 共同企画 ルーマニア シビウツアー

すでに告知されていますNoismルーマニア公演。
3/30 ブカレスト『ラ・バヤデール-幻の国』、
4/5,6シビウ『マッチ売りの話』+『passacaglia』。

さわさわ会&サポーターズでは、後半のシビウ公演最終日、4月6日に合わせ、4/5(水)~9(日)にツアーを計画しています。
詳細はまだ決定していませんが、旅費は18万~20万円程度です。
ご興味のある方は、当サイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。今のところ4名参加予定です。
皆様どうぞぜひご一緒に♪   (fullmoon)

Noism1最新作 プレス向け公開リハーサル&囲み取材に参加してきました

2017年1月12日(木)の新潟はNoism1新作チラシに2度言及されている「雪」の予報。
そして冬の仄暗さのなか、
あたかも天気予報が律儀に約束を履行しようとでもするかのように小雪がちらつく午後1時、
プレス向け公開リハーサル(スタジオB)とその後の囲み取材(練習室5)に参加してきました。

  

午後1時からのプレス向け公開リハーサルで見せて貰ったのは、
前回、本ブログで「まだ見ぬ第1部」と書いた、
近代童話劇シリーズvol.2『マッチ売りの話』の一部でした。

どうやら日本であるらしい、古風な、しかし金色の卓袱台が鎮座する家の「内」と
これも古めかしい形状の街灯を付けた電信柱が屹立する「外」が同居し、
更に幾つかの時間が混在する、不可思議な時空間。

 

少女、女性、娼婦、おばあちゃん、双子、弟、遺影、犬・・・そして仮面・・・???
今回も目に飛び込んでくる情報量は多めで、同時に様々なことが起こっているようです。
アンデルセンの童話というよりも、別役実による同名の不条理劇的要素が濃厚に感じられました。

生来のぼんやりゆえ、「筋」らしきものは辿れませんでしたが、
「昭和」を思わせる、幾分か大袈裟で古臭い感じの音楽が流れるなか、
同シリーズの1作目『箱入り娘』同様に、
コミカルで、ユーモラスな動きが楽しい、
「見ることの愉悦」に溢れた第1部と言えるでしょう。

午後1時30分、公開リハーサルに続き、
場所を隣の練習室5に移して、金森さんの囲み取材が行われました。
交わされた質疑応答のなかから、今作鑑賞のヒントになりそうな
金森さんの言葉を要約して幾つかご紹介します。

「タイトルを『少女』ではなく『話』としたのは、
本作はアンデルセンと別役実を下敷きにしたオリジナル作品であって、
アンデルセンだと思ってこられると訳がわからなくなってしまうだろうから。」

「物語舞踊の第1部と抽象舞踊の第2部を、休憩を挟まず地続き(70分間)でお見せするのは、
多様な価値観が云々される現代、本来共存し得ないものを同時に受け入れ、
その共通項だったり、同時に見ることで何かを感じて欲しいという思いから。
是非混乱しよう。(笑) そしてその後で何を感じるか。
混乱しながら、これを読み解いて欲しい。」

「仮面の使用は一番最後にきたもの。
そう言えば『ホフマン物語』の仮面があるよね、と。
もう一個抽象化して、『私でもあり得る、あなたでもあり得る、誰でもあり得る私』へ飛躍させようと。
また、舞踊家にとって仮面を付けて踊るのは難しいことではあるが、欧州では誰もが通る必須の課程でもある。
私たちは普段いかに表情にごまかされているか。
それを封じて、舞踊家の身体的なものに置き換えたい。」

「見渡せば、あちらでもこちらでもポピュリズム(大衆迎合)が大手を振って罷り通っている。
そうした困難な時代に生きている私たち。この困難な時代に何を作るのか。
目指すのは、答えを出すことではなく、考えるきっかけを与えること。
何となく幸せな気分に浸っていたければ、劇場になんか来ない方が良い。(笑)
舞踊家集団として抱く疑問を提示していきたい。」等々。

最後は、金森さんの「俺が言うと、何か変だけど、今回は2回は観て欲しい。1回ではわからない。(笑)」
という言葉をもって、囲み取材は和やかな空気感のうちに閉じられました。

金森さんの「1回ではわからない」発言への対策のひとつとして、
明日夜19:00開催のリーディングイベント、
★★声に出して読む、不条理劇 別役実「マッチ売りの少女」★★ などは如何でしょうか。
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日時:2017年1月13日(金)19:00~21:00
会場:kaffa 蒼紫~パルム(新潟市中央区古町6、萬松堂向かいの小路を入った2階 電話025-228-2050)
定員:25名  参加費:1,000円(資料代&ワンドリンク代)
申込:「新潟でリーディングを楽しむ会」/電話・ショートメール090-8615-9942
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ナビゲーター・市川明美さん(月刊ウインド編集部 制作長)の手ほどきで予習すれば
心強いこと間違いありません。
期日が迫っておりますので、ご連絡はお早めに。

・・・こちら、私は残念ながらどうやっても参加できそうにない日程だったため、
代わりに、りゅーとぴあからの帰路、ほんぽーと新潟市立中央図書館に寄って、
別役実『マッチ売りの少女』を収めた『現代日本戯曲大系・7』(三一書房刊)を借りてきました。

いずれにしても、Noism1新作・近代童話劇シリーズvol.2『マッチ売りの話』+『passacaglia』公開を来週末に控えて、
ワクワクが募って仕方ありません。
今は一刻も早く「混乱したい」気持ちです。(笑)
皆さん、是非、一緒に金森さんの企てで「混乱」しましょう!(笑)

(shin)
(撮影:aqua)

Noism1新作の公開リハーサルに行ってきました!

皆様、新年明けましておめでとうございます。
今年も本ブログを何卒宜しくお願い申し上げます。

ということで、雪のない2017年1月8日(日)、
三連休中日の午後、りゅーとぴあのスタジオBに、
来週末に公開が迫ったNoism1の新作・近代童話劇シリーズvol.2
『マッチ売りの話』+『passacaglia』の公開リハーサルを観に行ってきました。

新潟市はこの日が成人式。
百貨店などは春のSALE期間中だったりもしたうえ、
様々なイヴェントも重なり、街や道路、駐車場も大混雑。
そんななか、スタジオBのホワイエには、新作公開を待ちわびる
あの人の顔や、この人の顔が続々集ってきます。
なかには「この1時間のために」はるばる群馬からお越しになられた男性もおられ、
切望する気持ちを共通項として繋がりが拡がっていくことに、
改めてNoismの凄さを実感する思いがしました。
新年の挨拶を交わし、近況をやりとりしながら入場を待ちます。

午後3時、既に階段状の客席が組まれたスタジオBへ。
金森さんのご挨拶に引き続き、第2部『passacaglia』のリハーサルを一部見せて頂きました。

そもそも「passacaglia」って何?---から始まる、私と同様の方もいらっしゃるかもなので、
仄聞したところを紹介しますと、「もとはスペイン語の『歩く』と『通り』に由来する言葉。
17世紀のスペインやイタリアで流行した舞曲で、バロック期に純器楽曲として様式化された
遅い3拍子の連続的変奏曲」とか。
音楽的には「繰り返しの切れ目は不分明で、音楽が途切れなく流れていく」のが特徴らしいです。
「常に動いていく」感じでしょうか。
新たなメンバーも加わり、女性5名、男性5名のNoism1による第2部。
そんなイメージをもって眺めていても、概ね間違いではなさそうな舞踊と言えるでしょう。

「最近は『物語』よりも『動き』を求める声もあったし」とは金森さん。
第1部のあとに、20分間動き続ける第2部、舞踊家にとっても相当な運動量です。
キツイはずです。一本通した後の皆さんも随分呼吸が荒くなっておられたようです。

そんな第2部のリハーサル。
直しの様子も見学した後、金森さんから「皆さん、どうでしたか?」と振られると、
「久し振りに穣さんの『グニャグニャ』が観れて嬉しかった」の感想は
サポーターズ事務局のfullmoonさん。
すると、金森さんも「そうですね。『グニャグニャ』ですね。」
続けて、「今回は、複雑な構造を単純に見せるのではなく、
複雑なものを複雑に見せることがテーマ」とおっしゃられていたことをご紹介しておきます。
第2部は、「グニャグニャ」と「Noismならではの複雑な動き」がキーワードでしょうか。
絡まり合う10人の身体が目を奪います。

これにまだ見ぬ第1部を加えて、刺激に富んだ舞台の幕があがるのは1月20日(金)。
照明と衣裳が加わることで、更に凄みを増すNoism1新作『マッチ売りの話』+『passacaglia』、
チケット絶賛発売中です。既に完売の公演もございます。お早めにお買い求めください。
期待感を大いに膨らませて、是非、スタジオBでお会いしましょう。 (shin)