10/17『A JOURNEY』横浜千穐楽直後、感動の余韻のままに金森さん×長塚圭史さんのインスタライヴ

10/17(日)、「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021」のフィナーレを飾るNoism Company Niigata × 小林十市『A JOURNEY ~ 記憶の中の記憶へ』が多くの人たちの脳裏に、胸に、記憶として刻まれてまもなく、17:45からKAATのインスタ・アカウントにて、金森さんとKAAT 神奈川芸術劇場芸術監督・長塚圭史さんのインスタライヴが配信されました。劇場界隈で、或いは劇場からの帰路で、その様子をご覧になった方も多かったと思われます。かく言う私は、「旅」先でもあり、まずは本ブログに公演レポをあげなければならぬという事情から、当初から、後刻、アーカイヴを観ることに決めていました。そして、日付が変わって、翌朝、(NHKの朝ドラ『おかえりモネ』に続けて)楽しませて貰った口です。ですから、皆さん、もうお楽しみ済みと考えますが、こちらでも内容をかいつまんでご紹介させていただきます。

*その実際のアーカイヴはこちらからもどうぞ。

金森さんと長塚さんはほぼ初対面。その長塚さん、劇的舞踊『カルメン』が印象に残っていて、特に「老婆」のインパクトが凄かったと語るところからやりとりは始まりました。

今回、思いがけない作品でびっくりした。どのようにして作られたのか。(長塚さん)
 -金森さん: 第一部冒頭「追憶のギリシャ」、十市さんと一緒に踊る場面の音楽はマノス・ハジダキス(1925-1994)。ベジャールがよく使っていたギリシャ音楽の作曲家で、ルードラ時代から思い出深い人。その人の楽曲を使って作れないかなと考えた。今回の楽曲は『I’m an eagle without wings.(私は翼のない鷲)』、今回のメインテーマである十市さんにもう一度、羽を獲得して欲しいとの思いを込めて選曲した。
『BOLERO 2020』の舞台版は、コロナ禍で創作した映像版で不在だった中心に十市さんを迎えて、他者と熱量を共有したいという鬱積した思いや願いなどを十市さんにぶつけるかたちをとり、そこから第二部へ行けたらと、この構成にした。
 -長塚さん: まず最初、十市さんの記憶から始まった。ダンス遍歴として受け取った。
 -金森さん: コロナ禍の苦悩が発端だったが、人間は人生の折々に、色々な境遇でそうした感情を抱く。時代を超えて、普遍性を持ったものであって欲しい。自由に受け止めて貰えれば良い。
 -長塚さん: 同時多発的で、凄い情報量。ドラマティックな「ボレロ」として刺激的だった。
あと、始まり方に驚いた。十市さんの劇のように始まった。こんなにひとりのダンサーに向けて作品を製作したことはあったか。
 -金森さん: 初めて。最初から最後まで「兄ちゃん」のために考えた作品。

第二部(The 80’s Ghosts)について
 -金森さん: 音楽はユーグ・ル・バール(1950-2014)、80年代にベジャールさんと一緒に作品を作っていたフランスの映画音楽の作曲家。十市さんがベジャールバレエ団に所属した1989年に、ベジャールさんが初演していたのが『1789…そして私たち』。フランス革命から200年後、革命にまつわる作品で、ユーグ・ル・バールがたくさん使われていた。十市さんとベジャールさんの出会いの頃。
その『1789…そして私たち』、200年前の革命で民主化された筈の世の中も、貧富の差は拡大し、争い事は尽きず、何も変わっていないという問題意識をベジャールさんは持っていた。80年代を振り返り、ベジャールさんを思い起こすとき、それは過ぎたことではなくて、今もなおアクチュアル。今現在、我々が生きている世の中の問題とも繋がっている。そのなかにあって、小林十市という舞踊家が52歳になって再び舞台に立とうとしている。その時間スパンをユーグ・ル・バールの曲を用いて表現できないかと思った。
ベジャールもユーグ・ル・バールも度々来日していた。80年代の日本は「バブル」。今から振り返ったら、じゃあ何だったんだろう、と。今もまだ続いている問題は何で、その上で、我々はここからどう「旅」していくかということを、逆に、舞踊家・小林十市に託した。

十市さんの「道化師」、52歳の十市さん
 -金森さん: 孤独で塞ぎ込んでいた17歳の頃、十市さんはいつも笑顔で優しかった。ベジャールさんの作品のなかでも、十市さんが担っていたポジションは「猫」の役など、人間を傍から、社会を斜めから見る目。あらゆる困難、苦悩、悲しみを見たうえで、それを笑いに転化しようというエネルギーを小林十市という舞踊家に感じていた。「道化師」は必然。その明るさ、道化的な要素をNoismメンバーに共有して欲しかった。通常のNoismではなかなかないようなことを十市さんと交わることで生みたかった。十市さんは落語家の孫。落語は人間の業を肯定する話芸、その遺伝子を継いでいる。
 -長塚さん: 道化師、俯瞰して、傍から見ている。今回の舞台でも、座って見ている時間が長かった。そこから踊り始めるのは結構負荷がかかるのではないか。52歳の十市さんの肉体と向き合ってどういう発見があったか。
 -金森さん: 2日目、カーテンコールが終わって、十市さんがちょっと悔しそうにしてたのが何よりかな。稽古して、求めれば求めるほど満足はいかないものだし、舞台に立ち続けるとはそういうこと。苦痛や不安を乗り越えていく、それが舞台芸術の美しさだと思う。十市さんの年齢を考えて振付したけれど、十市さん的には結構 too much だったかも。
でも、やっぱり十市さんは大きな舞台の人だと思う。世界中ツアーして、3,000人とかに向けて大空間で踊ってきた舞踊家。それは絶対、身体のなかにある筈だし、実際ある。
 -長塚さん・金森さん: 『BOLERO 2020』の最後、円のなかに入っていく、あれ、出来ないですよ。あのエネルギーのなかに行って、立つっていう。
 -長塚さん: 一緒に踊ったことはなくても、知り尽くしてるんですね。
 -金森さん: いやあ、だって、たった2年ですからね。妄想、妄想。知り尽くしてないです。(ふたり爆笑)
 -長塚さん: カンパニーとしての「出会い」はあったか。
 -金森さん: いい刺激になったと思う。凄い経歴、数々の舞台に立ってきた52歳でも、本番前に緊張したり、本番後、あそこがもっとなぁとか思ったり。若いメンバーが踊り続けていくなら、その姿が、彼らが共有したことがハッと気付くときが来る。今、もう既に目の輝きに表われてきたりしている。「舞踊道」、長く続く豊かなものである。たとえ、若い頃のように踊れなくなったにしても、そこにまた何か表現の可能性があることを感じて欲しかったし、感じてくれていると思う。
 -長塚さん: この作品がフェスティバルのフィナーレになったこと、凄い良かったなと改めて思う。
 -金森さん: 「クロージングで」ってことで話を貰ったので、なかなかの責任だったが、十市さんへの思いと持てるもの全てを十市さんのために注いだら、多分相応しい何かが生まれるとは思っていた。最終的に「兄ちゃん」が踊り切ってくれて良かった。
 -長塚さん: この構想を聞いてから、事前にプロットを考えて、そこに十市さんに入って貰ったのか、それとも十市さんと一緒に作っていったのか。
 -金森さん: line で、十市さんが踊った楽曲、思い出、写真など送って貰い、情報は共有したが、作品に関しては、自分のなかでどんどん先に作っておいた。あと、十市さんが入ってから、十市さんとの振付は、実際に十市さんに振付ながら生んできた。


作品に関して
 -長塚さん: 深い愛情が詰まった舞台であり、なおかつ、そこにとどまらず、今現在、これから先に向かっていくという作品は本当に素晴らしかった。
 -金森さん: 十市さんを思っている沢山の方々(お母さんやファン)の気持ちを裏切らないように作ったものが、昨日、無事に届いた感覚があって、それが何よりだった。
 -長塚さん: 十市さんのストーリーとして始まっていくのに、その間口がとにかく開かれていることが素晴らしいと思った。個人史みたいなところに行かず、歴史と記憶と現在とことを詰めたことが、閉じないことに繋がっている。作品としては、異質なのかもしれないが、十市さんというダンサーを通してできるひとつのレパートリーになっていくような、「幅」をとても強く感じた。
 -金森さん: 十市さんのために作ったが、十市さんにフォーカスしたいうよりも、「金森穣」の作品を作るうえでの妄想空間があり、そこに十市さんを入れ、そこで十市さんに自由に暴れて貰って、それで作った。十市さんが入ったことで、新たなインスピレーションのチャンネルも多数開いたので、十市さんには感謝している。
 -長塚さん: 全然閉じていなかった。特に開けていて、凄く面白くて素敵な公演だった。

…と、まあこんな感じでしたかね。ここでは拾い上げなかった部分も面白さで溢れていますから、是非、全編通してご覧になることをお薦めします。

そして、更に「もっともっと」という方には『エリア50代』初日(9/23)の公演後に配信された小林十市さん×長塚圭史さんのインスタライヴ(アーカイヴ)もお薦めします。こちらからどうぞ。

それではこのへんで。

(shin)

奇跡の現場に身を浸した10月17日、『A JOURNEY〜記憶の中の記憶へ』千穐楽

個人的な事柄から書き出します。前日(10/16)のチケットも購入していましたが、職場の周年行事と重なっていたことに遅れて気付き、あえなく見送りにせざるを得ず、この日(10/17)の千穐楽が最初で最後の鑑賞機会となりました。はやる気持ちを抑えつつ、朝イチの新幹線で本当に久し振りの横浜入り。ホテルの部屋からはみなとみらいの大観覧車などを望むことができたのですが、雨煙る窓外のそれらは何とも平板で、そこここで営まれている筈の数多の人生たちも一切華やぎを立ち上げるべくもなく、灰色のなかに没していました。奇跡など存しないかのように…。

しかし、奇跡。そう、奇跡。「Dance Dance Dance @YOKOHAMA 2021」の掉尾を飾るNoism Company Niigata ✕ 小林十市『A JOURNEY〜記憶の中の記憶へ』(KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉)はその名に値するものだったと言えるでしょう。肌寒い10月の平板な日常のなかに、刮目すべき類稀な70分(休憩含む)の「旅」を用意してくれたのですが、それはベジャールさんとローザンヌを巡る記憶に基づいた十市さんの旅であり、用意した金森さんの旅であるのみならず、Noismメンバーにとっても、観客にとっても、まさにそれは奇跡的な旅だったと言えるかと思います。

プログラムによれば、第一部(25分)は、「Opening I」「追憶のギリシャ」「BOLERO 2020」とあります。

その第一部。16時を少しまわった頃、風の音が聞こえてきて、緞帳があがると、舞台中央に旅支度を整え、椅子に腰掛けた十市さん。諦念を滲ませながら、古びたトランクから数枚の写真を取り出しては視線を落とします。舞台奥に映される画像によってそれらがベジャール・ダンサーとして一世を風靡していた頃のものとわかります。そこに上手(かみて)から金森さん、そして、遅れて井関さん、舞踊とは別種の「旅」など祝する様子も皆無で、自ら踊りを繰り出しては舞踊の醍醐味に連れ戻そうと誘いをかけます。その場面、ある種のストーリーを完全に逸脱した、喜色満面の金森さんの笑顔に打たれます。「兄ちゃん」十市さんと踊る奇跡を表情から、体中から発散しているのです。そしてそれは、とりもなおさず、観客にとっても奇跡に立ち会うこと以外の何物でもありませんでした。その愉悦。多幸感。

そこからの『BOLERO 2020』、十市さんは下手(しもて)ギリギリの位置に移した件の椅子に腰掛けて、12人の舞踊家により、新たな『BOLERO』が踊られるさまを、微動だにせず、見詰めるでしょう。コロナ禍の舞踊家を扱ったクリエイションは、途中まで、あくまで舞踊家12人の孤独な舞踊であり、そこには本来、観客は不在の筈で、想定されていない観客として、それを見詰めるいると、音楽の盛り上がりとともに、次第にシンクロしていく構成に、心臓は高鳴り、我を忘れて興奮する他ありません。

そのさなか、今回、「映像舞踊」版に追加されたものがあり、ドキッとすることに。それは大クライマックスへと移る瞬間、濁点付きの「あああっ!」という大音声の叫び声。山田勇気さんが発したものでした。そこからはもう一気呵成、舞台奥にベジャールさんの作風を彷彿とさせる真上からの映像が映ると、舞踊家たちが形作る円の中心に進み出る十市さん。力強く上方に腕を伸ばし、何かを掴んだかのような確かさや一瞬の煌めきも束の間、その場に倒れ込んでしまいます。そこに緞帳が降りてきて、第一部の終わり。大きな拍手が沸き起こりました。

15分の休憩を挟んで、第二部(30分)。「The 80’s Ghosts」と「Opening II」(!)とあります。「ん?」って感じでしたけど。

再び緞帳が上がると、ほぼ第一部ラストの倒れたままの十市さん。違いは下手(しもて)ギリギリにあるのが椅子ではなく、先のトランクであることです。

すると、舞台奥にほぼ正方形の開口が生じて、スモークのなかから、グレーの衣裳に見を包んだ12名が現れます。『中国の不思議な役人』を彷彿とさせる不気味さで、十市さんを脅しに来ます。まるでそれは、十市さん内部の、踊ることへの妄執ででもあるかのように。現実味は希薄ですが、迫力満点です。

やがて、そこにプラスされるのは諧謔味。そして言葉。「彼らは舞踊家です」であるとしながら、翻って、「そして私は俳優です」でよいのか。「そして私は…」と言葉は途切れがちになり、後が続きません。「俳優」であることに安住出来ない気持ちが噴出してきます。

と、トランクに仕舞い込んでいた道化師の衣裳が、井関さん、ジョフォアさん、中尾さん、三好さんによって取り出され、あろうことか、彼ら4人によってバラバラに着られてしまいます。自らも赤い鼻を付ける十市さんですが、4人に翻弄され続けます。『ASU』のコミカルな1場面の趣きです。

次いで、三好さんがトランクから新聞と思しき紙片を取り出すと、唐突に「3億円のサマージャンボ宝くじ」発売を告げる女性の声が聞こえてきたり、そうかと思えば、ミラーボールが降りてきてからは、タンゴ調の音楽が耳となり、弾かれた光が客席全体に散らばるうちに、気付くと「革命とは…」というベジャールさんの声に転じています。やがて、観客は、舞台奥に投影される古いフランスの写真や映像に、混乱、或いは動乱の様子を見ることでしょう。

流れてやまず、とどまることを知らない時間、付随する避け難い加齢という現実…、十市さんにとっての踊る意味とは。そして、同様に、襲い来る様々な困難や苦境…、そこにあって舞踊家が踊る意味とは。そうした踊る意味への問いは否応なく芸術の意味への問いとして普遍化されていきます。そのとき、私たち観客も漏れなくその問いのなかに包含されていることにならざるを得ません。

「Opening II」とは、この奇跡的な共演を機に、舞踊の旅に立ち返ることになる他ないのだろう「兄ちゃん」十市さんの新章へのエールであり、十市さんと踊ったNoismメンバーの今後への期待でもあり、それを観た観客にとってさえ、一人ひとり前を見て歩むことを力強く後押しするものだったと言い切りたいと思います。

「Opening II」と表記されたクロージングにあって、金森さんは十市さんに上着を渡し、写真を渡し、トランクを渡します。どこまでも優しい仕草です。それを受けて、客席の方へ歩み出す十市さんの表情も諦念とは無縁のものになっています。滋味を加えた舞踊家として。

ラストで手渡された1枚の写真。それが何を写したものだったかは示されません。しかし、繰り返されたカーテンコールの際、舞台奥には、まず、十市さんと金森さんの写真を皮切りに、Noismメンバーとのクリエイション時の十市さんの写真が映されていきました。私は、最後の写真は、時空と構成を超えて、そのときの1枚だったと受け取ります。ベジャールさんのもと、ローザンヌで交差したふたりの(或いはベジャールさんを含めた3人の)人生に発したものが、まったく無縁に思えた新潟でのクリエイションを経て、第3の場所、横浜のフェスティバルで多くの人の目を虜にし、心を鷲掴みにする、そんな奇跡的な70分だった訳です。なんとロマンティックなことではありませんか。鳴り止まぬ拍手と時間を追うにつれ、数を増していったスタンディングィング・オベーションとがその証左です。

…平板なようでいて、こんな奇跡も内包するのが日常なら、愛おしさも込み上げてこようというものです。帰ったホテルの窓外に広がる光景が、今度は魅力的に見えたのは灯りが点っていたことだけがその理由ではなかったでしょう。そして、この日観たものがひとつの奇跡であるとするなら、またいつか目にし得る日が来るかも、そんな奇跡さえ期待したい気になろうというものです。ただ、今の私たちにはわからないだけで…。

(shin)

金森さんの愛を感じた「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021」活動支援会員対象公開リハーサル(土曜日の部)

正確に一週間後に控えたNoism Company Niigata × 小林十市さんの公演(「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021」)を前に、10月9日(土)に開催された活動支援会員対象の公開リハーサルを観てきました。(@りゅーとぴあ・スタジオB)以下、ネタバレなしでいきます。

この日と翌10日(日)、二日間に設定された公開リハーサルですが、両日各12人と限られた人数しか目にすることができないとあって、申込開始日には朝から緊張して、ドキドキしながらメールを送信し、その後、「受け付けました」旨の受信を見た際には安堵の気持ちが湧いてきたことが思い出されます。

先日の「柳都会」を聴いて、金森さんが「奇跡」と表現する「兄ちゃん」十市さんとの共演への期待は募る一方でしたので、待ち遠しかったこの機会。

そして3日前(10/6)になって届いたメールには「終了時刻変更」とあります。当初、30分の予定だったものが、1時間に延長されると知らされたのです。「もしかして全部観られるの?」そんな思いを胸に足を運んだ土曜日のお昼過ぎでした。

「1時間もの」に延長されて
実施された公開リハーサル

で、その公開リハーサル、もう随所に金森さん(とスタッフの皆さん)の愛が溢れた至福の約70分だったと言わねばなりません。まず、折から「劇場に空きがない」とりゅーとぴあでの公演が叶わず、目にする機会に恵まれない新潟市民に向けられた愛。フラットな床面、アクティングエリア「きわきわ」に据えられた椅子に腰掛けて、まさに目と鼻の先で見せて頂いたのですが、もちろん、そこに緞帳はありません。全てが顕わしの空間で、金森さんの「カーテンが上がってます」と「カーテンが下りてます」の言葉に挟まれた、当日の舞台の一部始終(それは言葉の正確な意味での「一部始終」で、ホントに最初から最後まで)を見せて頂いたのでした。

第一部は「映像舞踊」として観てきた演目の実演版。出演者も入れ替わり、「あっ、この人がこれをやるんだ」という楽しみ方もあります。そして何より、十市さんを配して追加された場面はまさに眼福で見とれます、マジで。ネタバレを避ける配慮から書けないのが残念ですが、横浜で、或いは明日の公開リハでご覧になられる方はどうぞお楽しみに。ベジャールさんと、そして十市さんへの愛に溢れていることは言うまでもなく、金森さんが、2020年、「コロナ禍」の舞踊家を念頭において、「中心」不在に映る映像を撮ったことで、周囲にある種の磁場が形成され、十市さんが召喚されたのに違いないと思うほどです。このはまり方、金森さんには最初からこのイメージが見えていて、ただ謙遜して「奇跡」と呼んでいるだけじゃないのか、などとも。

そして踊り終わった後には、本番、横浜の舞台での演出についても説明してくれた金森さん、もう愛の人でしかありません。後光が差して見えました。大袈裟でもなんでもなく。

10分(本番では15分だそうです)の休憩を挟んで、新作を見せて貰いましたが、これはもうこれまでのNoismのイメージとは一線を画すもので、「兄ちゃん」十市さんのキャラクターや資質が色濃く投影されたクリエイションだっただろうことが明瞭です。「兄ちゃん」への愛。十市さんに触発された結果、「お初にお目にかかります」的Noismに仕上がっていると言っても過言ではないでしょう。音楽を含めて全てが斬新。しかし、それがどんなものかは今は伏せておきます。なにしろ、ネタバレ厳禁が大命題ですから。ただ、新しいNoismとの出会いが待っていますとだけ。

また、この日の公開リハーサルの楽しみは他にもてんこ盛り状態でした。第一部で再び踊る姿を観た浅海侑加さん、相変わらず素敵でした。またどんどん踊って欲しいものです。そして、先日、「私がダンスを始めた頃」で続けてご紹介した新加入の庄島さくらさん、すみれさんの踊りもガン見しましたし、この度、昇格してNoism1で踊る中村友美さん、坪田光さんにも目が行きました。多くの面で、とても興味深く、中身の濃い時間を過ごせたと思います。

そんなこんなで、終了したのは、13時40分頃だったでしょうか。始まったのが予定の12時半を少し回っていたとはいえ、約70分間、何の出し惜しみもなく、もう「最後の最後まで」全て見せて貰っちゃった訳です。これほどまでに愛ある「リターン」があるなんて、もう活動支援会員でいて良かった♪今日スタジオBにいた誰もが一人残らずそう思っていたことは間違いありません。あそこまで見せられたら、もうスタンディングオベーションで応える他ないじゃありませんか。みんな笑顔笑顔で立ち上がって拍手を送った、そんな公開リハーサルでした。

(shin)

「柳都会」vol.24:小林十市さんを迎えて、回想されるローザンヌの日々、それから…

コロナ禍の影響で、9月11日(土)に開催予定だった「柳都会」が、10月4日(月)18:00からという平日の異例な時間帯に振り替えてまで実施された裏には、金森さんの強くて深い思いがあったからと解してまず間違いはないでしょう。この日のゲストは、金森さんが「兄ちゃん」と親しみを隠さない「エリア50代」小林十市さん(ダンサー・振付家)。接点はモーリス・ベジャール(1927-2007)、そしてふたりが彼の許で過ごしたローザンヌの日々。その2年間を回想しながら、金森さんが繰り出す質問と答える十市さんを基軸に、観客の前に浮かびあがってくる巨匠ベジャールの「横顔」。気負ったところのまるでないおふたりのお話にはとても興味深いものがありました。そのあたりが少しでも伝えられたらと思います。

1992年の出会い。舞踊団「ベジャール・バレエ・ローザンヌ」所属の十市さん23歳、バレエ学校「ルードラ・ベジャール・ローザンヌ」一期生の金森さん17歳。
 金森さん「人生で一番孤独な時期だった」
 十市さん「そんなに大変だった?一期生だし、自立して、自分の世界を持っている人たちのひとりに見えていた」
 金森さん「閉ざしていただけ」
前年(1991年)の暮れ、カンパニーに大リストラが断行され、60数名いたダンサーが25名に絞られ、同時に、(表向きは)「創作活動を濃密に」と学校が創られることに。(その学費はゼロで、後にベジャールの私費でまかなわれていたことを知ったと金森さん。)

一方、十市さんはジョージ・バランシン(1904-1983)に憧れて、NYに短期留学(バランシンが設立したバレエ学校SAB)。その後、日本に帰る気はなかったものの、アメリカでのワーキングビザ取得は困難を極めたため、母親が好きで、自分も観たことがあったベジャールに履歴書を送ったところ、すぐに返事が来て、3泊4日のプライベートオーディションの機会が設けられた。眼光鋭く、レッスンの様子を見ていたベジャールに「君のこと気に入ったから、一緒に仕事をしたい」と言われ、採用されたのが1989年。そのとき、十市さん20歳。ベジャール62歳。その後、腰の怪我で辞めるまで14年間、ベジャールの許で踊った。バランシンやってみたい気持ちがなくなっただけでなく、他の振付家の作品を踊りたいと思ったこともなく、ベジャールの作品のなかで違う作品をやりたかっただけだったと十市さん。
 金森さん「怪我に対してベジャールさんは寛容だったの?」
 十市さん「全然、寛容じゃない。昔の人だったし、舞台命の人だった。『痛い』と言っても、『僕も痛いよ』と言われちゃうと、もう何も言えなかった」
 金森さん「ジョルジュ・ドンさんって、どんな感じでしたか?」
 十市さん「カンパニーのなかでひとり別格。ひとりだけ、スターって感じ。ホテルの浴衣を羽織って、パイプの先に煙草をくゆらせて…、ちょっと近寄り難い存在だった」

ベジャールの創作風景について、
 金森さん「ベジャールさんは作品について説明したりしたんですか?」
 十市さん「モノによっては。振付は順番通りには行われなかった」
 金森さん「怒鳴ったりしたんですか?」
 十市さん「そういうイメージはない。自分が動きながら作品を創っていく。でも、恐い存在で、私語する人などいなかった」

 十市さん「振り返ってみるとローザンヌはどうしても行かざるを得なかった場所。分岐点に思える。果たして自分で選択しているのかどうか」
 金森さん「こうして新潟で並んで話していることが奇跡」
 十市さん「あっちの方で決まっているだろうシナリオを知らないだけで生きている。決まっているんだろうけどわかっていない」

今回のふたりのクリエーションについて、
 十市さん「まずは9月頭に2週間。1週目に振りを覚えて、次の週、身体が痛くなったので、『ハンディを付けて』と言ったら、『それは失礼なことだし、そんな十市さんは見たくない』と言われた。で、今日も勇気さんに教えて貰った治療院へ行ってきた」
 金森さん「今回の振付でベジャールっぽいところはありましたか?」
 十市さん「Noismメソッドに感じた」

事前に寄せられた質問
①新潟の印象は?
 十市さん「自転車に優しいところが『いいな』と感じた。自転車で近付いていくのを感じるとよけてくれたり」
②新潟で美味しいと思ったものは?
 十市さん
「ホテルで食べている朝食のお米。日本は何でも美味しい。海外ツアーをやってたとき、耐えられたのはイタリアだけ。ドイツは大味だし、スペインは油っぽいし…、日本は世界で一番美味しい」
③40代から50代、身体の維持方法は?
 十市さん
「よい鍼(はり)の先生に出会うこと。(笑)今回のように、これだけの運動量があると代謝もあがり、食生活は気にしないで済むが、母は常にお腹のチェックが厳しくて、よく矢沢永吉を引き合いに出しながら、『永ちゃんは腹出てないから』と言ってくる。まるで呪縛のように、『ちゃんとしなさい』って言われてきたが、それって何?」
④初めて観たNoism作品は何?
 十市さん
「多分、映像で観た『NINA』。メソッドにもある立っているやつ。それと、2010年に池袋で観た『Nameless Poison』。そのとき、ふたりでツーショットの写真を撮っているから」
⑤17年間、金森さんがNoismを続けてきたことに関してどう思うか?
 十市さん
「凄いよね、大変だよね。細かいことも聞いたけど、活動できる場を与えられているのは、やはり人かなと思う。穣君と新潟市との関係。ベジャールさんとローザンヌのように」

「常に自分のことで精一杯」という十市さん、「これからどうするんですか」と金森さんに問われると、まわりの3人の女性(母、妻、娘)と折り合いを付けながら、自分の幸せ=舞台に立つことを追い求めていきたいと語り、「舞台の上から、暗闇(客席)の中を凝視し、内観しながら、何かを探る感じが好き」とし、演劇や映像も経験してみて、「やはりダンサーの中身、ダンサーとしての記憶が残っている。自分を捨て切れなかったから、役者にはなり切れなかった」と感じているのだそうです。しかし、演劇に行ったことについては、その要素も濃かったベジャールさんを理解するうえでは大きかったとも。

もう一度、ベジャールの存在について、
 十市さん「ベジャールさんがやめるまでやるつもりだった。ベジャールさんに『指導で残ってくれ』と言われたけど、踊りたかったから、踊っている人たちを教えられないと思ったから」
 金森さん「でも、1年くらいで腰の痛みはなくなったんでしょ?」
 十市さん「1年半。日本で、福島の外科医さんに椎間板に注射一本打って貰ったら痛みがひいた」
 金森さん「でも、戻るとは考えなかった?」
 十市さん「世代交代だと思った。で、演劇へ。でも、今は舞踊で舞台に立ちたい」


 十市さん「踊っていた14年、その後も含めると15年、ベジャール・ファミリーに入って生活していて、そこで創られた自分が今に至っているのかなと」
 金森さん「逆に、2年しかいなくて、空きがなくて入れなかったから、憧れがある。その呪縛から、もっと新しいもの、もっと美しいものを求めてきたけれど、離れることは出来ない。そして今、東京バレエや十市さんが寄ってくる感覚が不思議」
 十市さん「ベジャールに思いを馳せて作品つくりをしているが、『怪我をしないように』と穣くんに言われても、穣くんの作品を踊っているのだし…」
 金森さん「作品つくりは妄想から始まる。で、『十市さんならもうちょっと、もっと行ける』となる。『これぐらいで良いかな』とか現実的になり過ぎるとできない」


最後に至り、十市さんが、数日前に、携帯電話で奥さんと話しながら萬代橋付近を歩いていた際、赤信号の交差点を、前方に見える青信号と勘違いし、渡ろうとして、「死にそうになった」経験から、「本番の舞台でなくても、常に悔いを残さないように全力でやらなきゃダメかな」と思ったと話せば、今回、新潟は劇場に空きがなくてやれないものの、「再演するかどうかは十市さんのお腹次第」と話した金森さん。予め90分という枠が設けられていなければ、いつまでも尽きることなく愉快に話は続いていったことでしょう。

そんなおふたりの初めてのクリエーション、「Noism Company Niigata × 小林十市」は、KAAT神奈川芸術劇場・大ホールにおいて、10月16日(土)と翌17日(日)の二日間の公演です。

そちらは観に行かれないという方にも小林十市さんが登場する舞台は新潟でも。「エリア50代」、11月13日(土)と翌14日(日)です。

この日のお話を聞いて、ますます期待が膨らみました。どんな舞台が観られるのか、待ち遠しい限りです。

まだまだ色々と書き切れませんでしたが、この日の「柳都会」レポートはこのへんで。

(shin)
 

新潟日報が報じた「要求水準を達成」、2020/9~2021/8のNoism

先日(9月23日)、金森さんがツイートしていたように、9月25日(土)付けの新潟日報朝刊がその新潟面で、「昨季『要求水準を達成』」の見出しのもと、「ノイズム活動評価」について「有識者会議が判定」した内容(「B評価」)を報じました。

同紙は、9月22日に開かれた有識者会議が、りゅーとぴあの自己評価や(新潟)市の評価案を基にオンラインで議論し、「昨シーズン(2020年9月~2021年8月)のNoismの活動について3段階のうち真ん中のB評価を付け、『要求水準を達成している』と評した」と伝えています。

市の評価案で、初めて実施した小学校5校への出張公演が高く評価されたこと、有識者5人のなかで、市舞踊協会の若林美江会長の「コロナ禍でも舞踊文化に触れられるのは、ノイズムが新潟にある強みだと再確認した」との言葉などが紹介されています。

新潟日報9月25日(土)朝刊より

10月発表予定の今後の契約や「レジデンシャル制度」の見直し案などが待たれますが、今は(当然と言えば当然の事柄に過ぎないとも言えますが、)頷ける「内容」であったのだろう「B評価」に安堵しているところです。(個人的には、昨シーズンも「特A評価」とみるところですが、「内容を常に改善」することが求められるなら、伸びしろの残る「B評価」はむしろ好ましいのかもしれません。)

求められている「市民の満足度や認知度の向上」に向けて、私たちサポーターズとしましても、改めて出来得ることをやっていきたいと思ったような次第です。この先も一丸となってNoismを支えて参りましょう。

(shin)

「にいがた総おどり祭」20周年記念オンライン公演「天地-AMATSUCHI-」のNoism2

2021年9月20日(月・祝)15時から17時までの2時間にわたり、今年、20周年を迎えた「にいがた総おどり」が「明日を創る」をテーマに、万代シティの交差点から、オンライン舞台をLIVE配信しました。(視聴チケット:税込み4,000円)

参加したのは、響’連、太鼓芸能集団 鼓童、Noism2、NGT48、ばんにゃい、澪-mio-、万代太鼓 華龍、永島流新潟樽砧伝承会ほか、公募出演キャスト。(欲を言えば、出演者や演目のテロップやタイムテーブルなどが示されると良いなぁと思いました。)私はいつものメンバー(=連れ合い)と軽く飲食しながら、スマホの小さなモニターを覗き込むようにして観ました。

勿論、お目当ては、Noism2×永島流新潟樽砧伝承会による名作「赤降る校庭 さらにもう一度 火の花 散れ」の部分再演。初演は2015年の8月、薄暮の校庭に灯された篝火のなか、その炎のゆらめきが醸し出す情緒と、そこに重なる繊細かつ力強いばち捌きから繰り出されるリズムとの三位一体を成し遂げ、「伝説」と化した感のある名作です。そしてその後も、ことある毎に「また観たい」と口の端に上ることが多かった舞踊でもあります。

15時、鼓童によるオープニングから始まり、NGT48の『Awesome』などを挟んで迎えた15:50、見覚えのある「にいがた総おどり祭」のプロモーションビデオが流れると、やがてそれが振付を行った山田勇気さん、そして永島流新潟樽砧伝承会代表の岡澤花菜子さんのインタビュー動画に繋がっていき、そのときが来たことを知ります。

奇しくも左上方の「赤地にM」が
色的に妙に調和してたりします(笑)

後方に樽砧の叩き手を配し、その手前、赤い衣裳の女性5人(青木愛実さん・兼述育見さん・小林亜優さん・土屋景衣子・渡部梨乃さん)、黒い衣裳の男性1人(糸川祐希さん)のNoism2メンバーが、6年前から全員入れ替わっただけでなく、そもそも新潟市に伝わる独特な音色にその身を浸していきます。この10分間だけは、当然ながら、ほかの一世風靡セピア然とした「前略、道の上より」(古っ!)的な時間とは異次元なもので、明らかに異彩を放つものになっていました。敢えて言語化してみれば、それは「ハレ」の祝祭空間がもたらす興奮に身を委ねるといったベクトルとは真逆で、叩き手と踊り手の磨き上げられた技量が(リモートといえども)観る者に陶酔をもたらし、そこに祝祭空間が立ち現れてくる、そんなパフォーマンスだったとでも言えるかと思います。殊に、ダンサーとも遜色のない岡澤さんの踊るようなばち捌きが刻み出す細かなリズムに応えて舞われた兼述さんのソロ部分など、(リモートといえども)まるで「1対1の決闘」ででもあるかのようなヒリヒリ感さえ伝わってきました。

本日踊ったNoism2のメンバーたちが全員、県外出身であることを考え合わせるとき、こうしたダイレクトに新潟市の歴史や伝統に連なる「演目」を踊る意味にも大きなものがあると思います。そしてそれと同時に、ここ新潟の地で、洋々たる「明日を創る」人たちであって欲しいと思いました。

活躍を期待しています、Noism2。

(shin)

BSN「ゆうなび」が伝える金森さん×東京バレエ団『かぐや姫』創作の様子♪

2021年9月9日(木)夕刻、BSNが平日18:15から放送している番組「ゆうなび」内で、10分を割き、「挑戦 Noism金森穣氏 東京バレエ団と“初共演” 新作『かぐや姫』を創作」の題のもと、クリエイションの過程を伝える特集を放送しました。

時刻18:26、特集は金森さんと井関さんが、東京都目黒区、大通り沿いにある一際目立つ西洋風の建物「東京バレエ団」のスタジオに入っていく姿から始まりました。

金森さんが演出振付を行う新作『かぐや姫』は、「日本最古の物語」と言われる『かぐや姫』に着想を得たもので、音楽にクロード・ドビュッシーが用いられ、かぐや姫、初恋の相手・道児、翁の3人を主要人物に展開する物語とのこと。

金森さん「皆さんも知っているような“王道のかぐや姫”なんだけど、エッセンスとして現代的な物語とか、あるいは自分が常々問いかけ続けている『人間とは何か』とか『人を愛するとは何か』とか根源的なテーマというものも、この『かぐや姫』にはのせられるし」

柄本弾さん(道児役)「穣さんが創っておられる過程に自分も参加できているというのもありますし、自分がやったことのない動きとか新しいことに挑戦できる毎日なので楽しくて楽しくてしょうがないというのは一番ありますね」

秋山瑛さん(かぐや姫役)「(穣さんは)漠然と怖い人なんじゃないかって思っていたのはなくなりました。(笑) 穣さんの中の『かぐや姫』っていうのはこういうふうに進んでいくんだなっていうのを今私たちもちょっとずつ、こうページをめくっている最中っていうか、でもすごく楽しみです」

一人の芸術家を介したつながり: 20世紀を代表する振付家モーリス・ベジャール(1927-2007)。国内では唯一、ベジャール作品をレパートリーにしている東京バレエ団と10代の頃に直接薫陶を受けた金森さん。

「東京バレエ団から依頼を受けたこともすごく自分の中で縁(えにし)を感じるというか、ベジャールさんが今“きている”のかなとは思うよね。失礼な言い方になっちゃうけど、(依頼が)遅いなと思った」と屈託なく笑う金森さん。

1964年の創設以来、古典バレエを活動の中心に据え、国内は勿論、海外は32ヶ国、155都市で775回と、日本で最も多く海外公演を行ってきた東京バレエ団が、世界への発信を視野に、新作を金森さんに依頼。

斎藤友佳理さん(東京バレエ団芸術監督)「東京バレエ団にとっても日本人振付家の作品を海外で上演するのはすごく意味あること。常に金森穣さんというのは私の頭の中にありました。彼の才能というのをもっと世界にアピールしていかなければいけないし」

Q:「Noism設立以来、外部での振り付けは初めて?」
 -金森さん「そう。新作を振り付けるのは初めて。なんていうのか、その挑戦がものすごく楽しいよ。それが何より大切なことだと思っていて」
 -金森さんにとっての挑戦: たとえば、ポワントシューズを履いた女性ダンサーの群舞を振り付けるのは初めてなのだそう。

金森さん「(東京バレエ団のダンサーは)バレエをメインでやっていらっしゃるから、それ以外の『金森穣の身体性』みたいなものは今回は初体験だから、そこは教えていかなければいけないし」

更に金森さん「『バレエと金森穣の身体性の融合』が今回の一つの東京バレエ団への振り付けの課題、テーマではあるよね」

両者の初共演に高い関心を寄せる評論家の三浦雅士さんがスタジオに足を運びました。「金森さんがね、ピークに接近していっているんだよね、今。自分のキャリアの絶頂の方に行っているの。新潟という所で元々の素地をつくって、その上で東京バレエ団という、率直に言えば、日本でほとんど唯一インターナショナルなバレエ団、そこで全幕物を目指して振り付けるというのはものすごく意味がある」と手振りを交えて話す三浦さんの様子からは内心の興奮が滲み出ていました。

金森さん×東京バレエ団の新作『かぐや姫』は全3幕物の構想。今回の公演はその第1幕、かぐや姫の誕生から都へ出るまでのストーリーが描かれる。

Q:「いい作品になりそうですか?」
 -斎藤友佳理さん「なります。もう絶対なりますね」

金森さん「自分たちの街(新潟)の舞踊団の芸術監督の作品をずっと見てくださっている方たちが、違う舞踊団の金森穣の作品を見るわけだから、うん、反応が楽しみ」

この日の特集は、笑顔の金森さんが椅子に腰を下ろしながら発した「一応できたぞ、全部」の声に、スタジオ内から拍手が沸き起こる場面で閉じられました。

期待の新作『かぐや姫』第1幕は、世界初演となる11月6日(土)、7日(日)に東京公演(同時上演『中国の不思議な役人』、『ドリーム・タイム』)、11月20日(土)に新潟公演(同時上演『ドリーム・タイム』)が組まれています。良いお席はお早めにお求め下さい。

(shin)

「ランチのNoism」#14:中尾洸太さんの巻

メール取材日:2021/8/7(Sat.)

シーズン終盤の怒濤の日程が八面六臂のフル稼働で踊り通され、その大ラスは月末の利賀(富山県)、Noism0の3人による『残影の庭』で締め括られる筈でしたが、公式発表はまだですけれど、感染症拡大防止の観点から、同演目の鑑賞予約者に対して、SCOTの担当者より個別に「上演延期」の電話連絡が行われましたから、Noism Company Niigataは現在、全メンバー揃って、18thシーズンを前にした夏休み中と解せられます。
再始動までしばしの充電期間という訳ですが、ここで、夏休みに入るギリギリ直前のタイミングでメール取材できた「ランチのNoism」(14回目)をお送り致します。今回登場するのは中尾洸太さん。果たして彼のランチとは…!?

皆さん、準備はいいですか。では覗きに行っちゃいましょう。

♫ふぁいてぃん・ぴーす・あん・ろけんろぉぉぉ…♪

夏休み前でも大忙しの舞踊家たちに昼がきた♪「ランチのNoism」!

*まずはランチのお写真から

えっ?えええっ?どゆこと?

ちょっとちょっと中尾さん、写真、間違えてません?こちら、食後のコーヒー画像ではありませんか。
それとも、まさか、昔の浪人生みたいに覚えた先から、頁を破って胃に収めていくってことじゃありませんよね、コレ。って、そんな訳ないか。破られた跡、ないですもんね。
それじゃあ、それじゃあ、取材の日にランチ忘れてきちゃった図だったり?あり得ない、あり得ない。失礼なこと言っちゃってスミマセン。

もうコレ、中尾さんにまんま伺うしかないですね。

1 今日のランチを簡単に説明してください。

 中尾さん「お昼はいつもコーヒーを飲みながら本を読んでいるか、そのまま練習していることが多いですね」

 *えっ?えええっ?(再び)
ランチブレイクがコーヒーブレイクってことですか?アドレナリン出しまくりの最中の読書っていうのもシュールな感じですし、お昼の時間も練習を続けているとしたら、それはそれでちょっと心配になっちゃうんですけど。
う~む、だとすると、今回、「ランチのNoism」として進めて大丈夫なんですかねぇ?次に用意した質問、既に行きにくい展開になってるんですけれど、これ…。ええい、敢えて、ってことで訊いちゃいますけど…。(汗)

2 誰が作りましたか。or 主にどこで買ってくるのですか。

 中尾さん「ランチに限らず割と自炊が好きなので、これが食べたいとなるとあまり手間は厭わずに作ります」

 *コーヒーについては触れられませんでしたけれど、聞けば、中尾さん、缶コーヒーはあまり飲まず、その時の気分によって変えることはあっても、基本的にはブラックで飲んでいるのだとか。この日のもこだわりのコーヒーだったりするんですかねぇ。
で、作って食べるのが好きってことで、好物を訊ねてみましたところ、「やっぱり白米が好きですね。あと豚肉と鶏肉も」と中尾さん。これはもうバッチリ新潟向きのお答え!豚肉で疲労回復を図り、鶏肉でたんぱく質を摂りながら、新潟のお米、どんどん召し上がってくださいね。

3 ランチ(タイム)でいつも重視しているのはどんなことですか。

 中尾さん「ランチをとると眠くなったり、一度踊るモードに入るとなかなか食べる気が起きなかったりするので、できるだけ軽くコーヒーだけで済ませてしまいます」

 *「できるだけ軽く」って、コレ、軽過ぎません、中尾さん?これまでお届けしてきたランチもホントに軽めな人多かったんですけど、ここまで来ちゃいますか?
まあ、舞踊家に「踊るモード」って言われちゃうと、私たちとは違うんだなって思うほかありませんけどね。いえ、そう思うことに致します、うん。「踊るモード」ですね。

4 「これだけは外せない」というこだわりの品はありますか。

 中尾さん「料理の品ではないのですが(笑)、本は割とお昼のお供にしています」

 *あっ、そっちですか。コーヒーの方が来ると思ったら、そちらでしたか。(汗)
そして私たちからの質問もムリムリ感強めなものが続きますが、ご容赦を。

5 毎日、食べるものは大体決まっている方ですか。それとも毎日変えようと考える方ですか。

 中尾さん「ランチはともかく、夜は毎日変えたい派です。なので、作り置きなどをしていた時期もありましたがやめました」(笑)

 *自炊されるとすると、疲れているのに大変ですね。それでも、夜、好きなもの食べたいですよね。そうでしょうとも、そうでしょうとも。で、よく作られるものにタコスがあるんだそうですが、「もう少し研究したのちに、得意料理を訊かれたときにはタコスと答えたいですね」と中尾さん。タコス道も極めていくことになりそうです。

6 公演がある時とない時ではランチの内容を変えますか。どう変えますか。

 中尾さん「なるべくいつも通りがいいので、公演だからといって何か特別に変えることはしません」

 *なるほど。例えば、以前にも触れたことですが、歌舞伎の市川海老蔵さんも「変えない派」で知られてますけど、ほぼコーヒーだけの中尾さんとは少し違うか。でも、やはり「踊るモード」優先ってことは言えて、そこは同じかと。

 *それからこちら、遠征中の写真を一枚、送ってくださいました。

サラダ音楽祭劇場入り期間中、自然な笑顔の中尾さん

 *遠征中の食事はさすがに少し勝手が違うのかもしれませんが、やはり食卓に本がありますね、分厚い本が。この日は恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』とお見受けしました。
んっ?えっ?おっと、これ、「週刊ブックレビュー」(古いか?)ではなくて、「ランチのNoism」でしたね。いけない、いけない。食べていたもの、食べていたもの。お訊きしたところ、ねぎみそと葉とうがらしのおにぎり、そしてお味噌汁と(恐らく、ひじきの)煮物とのことでした。(汗)和風ですね、中尾さん。

7 いつもどなたと一緒にランチタイムを過ごしていますか。

 中尾さん「本読むので割と一人でいます。みんなとしゃべりたいときはテーブルに行って歓談しています」

 *そうですよね。通常、本がお供なんでしたよね。これは失礼しました。では、「みんなとしゃべりたいとき」について教えてください。

8 主にどんなことを話していますか。

 中尾さん「昨日何食べた? とかあまり踊りに関係ないことを話しています」

 *おっと、西島秀俊さんと内野聖陽さんの人気ドラマ(『きのう何食べた?』)の話かと思っちゃいました。アレ、面白いですよね。観てます?って、話、逸れ過ぎですね。スミマセン。(汗)

9 おかずの交換など…(むにゃむにゃ…)←さすがに、これはそぐわないですね。

 中尾さん「おかず交換はしないのでとりあえず今読んでいる本の紹介でも…。
今、カズオ・イシグロさんにハマっているので、今は『忘れられた巨人』、一つ前に読んだのは『クララとお日さま』です」

 *おお、お気遣いに感謝です。いい人!ずっと読んでいる本について訊きたかったんですけど、タイミングを失したかなと残念な思いでいましただけに、もう感謝、感謝です。で、カズオ・イシグロさんですか。私も『日の名残り』とか『わたしを離さないで』とかいくつか読みましたけれど、少し堅めの純文学ではありながらも、大きく展開する物語が印象に残っています。また他のも読んでみようかと思いました。

10 いつもおいしそうなお弁当を作ってくるのは誰ですか。 料理上手だと思うメンバーは誰ですか。

 中尾さんカイスティーヴンはいつも美味しそうなものを食べているなーと思って見ていました」

 *おふたりともホントに料理上手でしたからね。前シーズン限りで退団されてしまったおふたりの名前にちょっとしんみりです。(涙)でも、淋しがってばかりもいられませんから、気を取り直して前を向いてこう、ってことで。
中尾さん、驚きの「ランチ」、ご馳走様でした。

で、中尾さんからもメッセージを預かっています。そちらをどうぞ。

■サポーターズの皆さまへのメッセージ

「いつもNoismの活動を応援してくださりありがとうございます。まだまだ新参者の私ではありますが、中尾洸太にしかできない踊り、表現を模索しつつ、それを皆様にお届けして感動していただけるよう精進してまいります。これからも応援よろしくお願いします」

メンバー振付公演でも意欲的な作品を発表していた中尾さん、これからも目が離せないですね。と、こんな具合で、今回の「ランチのNoism」もおしまいです。大幅に入れ替わるメンバー皆さんへの期待を募らせて、18thシーズンのNoism Company Niigataを待つことに致しましょう。今回もお相手はshinでした。それではまた。

(shin)

「レジデンシャル制度に関する有識者会議」(7/6:1回目)意見まとめ公表さる

お盆の日曜日、その午後、ゆっくり甲子園の高校野球を見たりしながら、あの酷い雨の後、試合ができている状況に、改めて阪神園芸さんの整備技術高いなぁなどと暢気に感心していたところ、サポーターズ仲間からメッセージを頂き、標記のPDFファイル(正式ファイル名:「新潟市民芸術文化会館レジデンシャル制度に関する有識者会議 主な意見まとめ (第 1 回目 7/6)」)が公表されていることを知りました。金森さんが翌日のtwitterで触れていたものです。慌てて、目を通してみましたが、もう心臓はバクバク状態に。一刻も早く、皆さんにもお知らせして、今後のサポートの在り方にも繋げていけたらと思い、こちらにいくつかリンクを貼ってご紹介しようと思います。

まずは、新潟市のHP中、当該「会議開催状況」のページのリンクです。最終更新日は8月11日とあります。「新潟市民芸術文化会館レジデンシャル制度に関する有識者会議 開催状況」です。様々な資料等もご覧頂ける、今般の「有識者会議」のトップページと呼べるものです。

その中から、当面、重要なものとしては、会議要旨とされる標記「新潟市民芸術文化会館レジデンシャル制度に関する有識者会議 主な意見まとめ (第 1 回目 7/6)」です。
同まとめ後半「3.レジデンシャル制度の課題及び制度改善にあたっての視点」に記された「(1)事業の在り方」5項目、「(2)労務管理の在り方」2項目が、今後のNoismの在り方を左右するだろう「取りまとめ意見」の核心と見做されます。
妥当と思われるものもありますが、ちょっと首を傾げざるを得なかったりする点もあり、サポーターズとしてはいろいろ思うところがある「取りまとめ」になっていると感じたのが正直なところです。
なかでも「芸術監督の在任期間が長くなると様々な面ですれ違う場面も出てくる…」や「目的と期待する成果を明確に示したうえで、活動の評価も含め市民と共有していくべき。」にひっかかりを覚えるのは私だけでしょうか?(他にもあるのですが、とりあえずってことです。)
で、そうした「課題」と「制度改善」を巡って感じる違和感は小さなものと言って済ませられるレベルのものなのでしょうか、それとも…?

併せて、6/22作成の「参考資料4・公立劇場専属舞踊団『Noism Company Niigata』活動総括【令和2年度版】」もご覧ください。
こちらに目を通しますと、今、お声掛けしている「アンケートへの取組み強化」は、成果として具体的な数字になって表われており、目に見える結果を残したと言えます。その点、感謝しかありません。
また、コロナ禍にあってさえ、「個人」からの支援(額)は微増していることに感動するものですが、他方、「法人等の団体」からの支援(額)が減っていることも一目瞭然です。これなどやむを得ず、いかんともしがたいことなのでしょうけれど…。
これからじっくり資料を読み込み、私たちサポーターズに出来ることがあれば、みんなで共有し、手を携えて進んでいきたいと思うものです。

この記事の終わりに、金森さんの8/4のツイートをここに改めてご紹介したいと思います。リンクを貼りましたので、是非、再度お読みください。そして、私たちにとっては自明の「存在意義の明示化」に向けて、今、皆さんのお声をお寄せ頂きたいと思うものです。

雑駁な記事でお恥ずかしい限りですが、今は取り急ぎということでご容赦願います。

【8/16追記】
*「第2回新潟市民芸術文化会館レジデンシャル制度に関する有識者会議の開催について(ご案内)」文書はこちらから。 → 8/18に開催されることになったそうです。
*「新潟市民芸術文化会館レジデンシャル制度に関する有識者会議」そのものについては、こちらもどうぞ。

(shin)

活動支援会員対象の「サラダ音楽祭」公開リハーサル(2日目)を観てきました♪

2021年8月6日(金)、スマホでチェックしたネットのニュースで「39.2℃」「危険な暑さ」と報じられたのは新潟市秋葉区。りゅーとぴあがある中央区は幾分かはましといえども、ひなたに駐車していた車に乗り込むと、外気温は46℃を表示しているなど、もうどうかしちゃった感のある殺人的な暑さのなか、活動支援会員対象「サラダ音楽祭」公開リハーサル(2日目)を観てきました。

この度の公開リハーサルは当初、この金曜日だけの予定でしたが、申し込まれた支援会員が多かったため、すぐに前日の木曜日分が追加されたのでした。その2日目。

巨大スポーツイヴェント開催に伴い、国民のあいだに「安心バイアス」が拡がり、新規陽性者数も右肩上がりに増加していくなか、「緊急事態宣言」下にある東京都へ赴くのは躊躇われますから、多くの方にとって、この機会はかなり貴重なものと捉えられていたのでしょう。

スタッフが付き添うかたちでの検温と手指消毒を済ませても、予定時間までは「スタジオB」のある4Fではなく、2Fロビーで入場の案内を待つというのも、これまでになく、慎重のうえにも慎重な対応でした。で、一旦、案内されてみると、今度は、そのまま「スタジオB」まで進みます。これもホワイエでの歓談を徹底して避けようとする意図によるものです。

そうやって、みんながスタジオ内の壁沿いに用意された椅子に腰をかけると、金森さんの合図でリハーサルが始まりました。まずは11人が踊る演目の一部です。みんな感染予防のマスクをつけ、見覚えのある衣裳を纏った11人(女性5人、男性6人)。その衣裳について、「本番の衣裳ですか」と金森さんに尋ねてみましたところ、「そうです。使い回しで~す。予算もかけられないので」とのことで、同時に、何の衣裳だったのか、ふたつの作品名も教えて頂きましたが、今はそれは伏せておきます。本番をご覧になられる方は当日、脳内検索をかけてヒットする作品名は何か、お楽しみ頂きたいと思います。男女10人があるひとつの作品からのもので、ひとり山田勇気さんだけは他の作品からの衣裳を纏って踊ります、とだけ。

こちら、かなり激しい動きを求められる演目のようで、袖に引っ込んだタイミングでは、(というのも、スタジオBには袖がなく、全て顕わしになっていますから、)腰に手をあて、息もあがりがちになっている姿も見られました。限られた狭いアクティング・エリアのなか、生オケで踊るのはホントに大変だろうことは一目瞭然です。しかし、いつもの金森さんの言葉を借りれば、「舞踊家が苦しければ苦しいほど、観客は喜ぶ」のでしょう。そんな舞踊家たちの動きから召喚された記憶は『クロノスカイロス1』、衣裳の色味こそ異なりますが。

そして井関さんひとりが踊る演目の方に移りました。本番では、ハープの協奏曲(約15分)を間に挟んで踊られるとのことですが、情緒も一転、まったく趣を異にする時間が楽しめる筈です。この日のリハーサルからだけでもそれは疑い得ないことと確信致しました。

約30分の公開リハーサルの最後にあたって、メンバーを呼び集めて挨拶するなか、「劇場が開いている以上、我々舞踊家としては、充分に配慮しながら、出来ることをやっていくことで、これからも世界に向けた発信を続けていきます」と金森さん。常に歩みを止めない姿勢には胸が熱くなります。「これからも引き続き、ご支援宜しくお願い致します」の言葉に、恐らく、その場にいた全員が心のなかで「勿論です」と返していたのではなかったでしょうか。その気持ちの籠もった拍手がスタジオBに響いていました。

「サラダ音楽祭」本番まで残すところ一週間。これからも一切妥協することなく、実演の精度を極限まで上げながら、当日の舞台を迎えるのでしょう。ご覧になられる方、感染状況、健康状態ほか、本当に気を遣うことと思いますが、その分も、忘れられない舞台になること間違いありません。ご堪能ください。

(shin)